文庫化された映画監督・砂田麻美の小説『一瞬の雲の切れ間に』を読んだ

文庫化された映画監督・砂田麻美の小説『一瞬の雲の切れ間に』を読んだ
実父の最期の日々を追った『エンディングノート』、スタジオジブリの人間模様を追った『夢と狂気の王国』と、ドキュメンタリー作品で知られる映画監督・砂田麻美。
一度取材でお会いしたのだが、とにかくありのまま現実を見つめ続ける、普通に最後に息をする瞬間までを生きるということを研ぎすませている人だと感じた。
『一瞬の雲の切れ間に』は、そんな彼女の2作目の小説。
これから読む方、以下ネタバレになるかもしれないのでご注意。



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フィクションの物語を描くということは、「愛情」とか「後悔」とか「責任」とか「美徳」とかに何とか答えを出そうとすることなのかもしれない。
でも、この小説を読むとわかるように、砂田麻美ほど徹底してありのままの現実を見つめ、普通に生きることを研ぎすませていると、そこに答えは浮かび上がってこない。
この小説はどこにも到達しないのか?
そう思った時、最後の最後で、そこまですべてに答えが出なかったからこそ、すべてを包括する答えが突如、出現する。
私たちが「生きたい」と願うことのありのままの現実を見つめ抜くために、ドキュメンタリー作家として砂田麻美はこの小説を書いたのだと思う。(古河晋)
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