サカナクションゲストの『関ジャム』が明らかにしたチームサカナクションの魔法とは?

「この番組ができて、ゲストで誰に来て欲しいかって。僕はサカナクションってずっと言ってたんですよ。何年目ですかこれ!? 4年かかったかぁ~!」と錦戸亮(関ジャニ∞)が万感の笑顔を覗かせた、6月3日放送のテレビ朝日『関ジャム 完全燃SHOW』。番組序盤から「音の変態」というフレーズが連発される今回は、サカナクションの5人+ライブの裏方4人のチームサカナクションを迎え、昨年10月に行われた「SAKANAQUARIUM2017 10th ANNIVERSARY Arena Session 6.1ch Sound Around」大阪城ホールの6.1chサラウンドライブ密着取材をもとに、興味深いトークが繰り広げられる内容だった。

サカナクションの6.1chサラウンドライブ(前方右・前方左・真ん中右・真ん中左・後方右・後方左・サブウーファーのスピーカーチャンネルを導入)に関わる重要な人物として、まずは武井一雄(システムエンジニア)が紹介される。アリーナという大会場で218本(通常の3倍の数)ものスピーカーの音量や出力タイミングを調整する彼の仕事は、サカナクション・山口一郎(Vo・G)をして「武井さんの扱うソフトウェアや数字は、僕らが見てもまったく分からない。異次元」と言わしめるほど複雑極まるものだ。

続いては、サニーさんこと佐々木幸生(PAエンジニア)。通常のミキサー業務に加え、サラウンドライブの7種類のスピーカーを配置し、最適化する作業を担当。番組スタジオ内で6.1chサラウンドを体験する一幕では、サカナクション“Aoi”のライブ音源から発せられる「手を挙げろーっ!」の煽り文句を受け、学生のように右手を挙手する横山裕(関ジャニ∞)だったが、溢れ出すコーラスの臨場感には仰天。「亡霊が来てる!」と声を漏らす。ゲストの山本彩(NMB48)は「世界が歌ってる」とコメントしていた。また、スタジオの面々はバイノーラル音源で疑似サラウンド効果を体験。渋谷すばる(関ジャニ∞)も、横山を真似るように挙手の素振りを見せて楽しそうだ。

サカナクションのライブで10年に渡り照明を担当している「音を光でライトアップする職人」こと平山和裕(照明デザイナー)は、さまざまな新技術や芸術性を発揮する演出について「届けるものが音楽なんで」というサカナクションのための思想を語る。さらに、レコーディングエンジニアとしても曲作り段階からサカナクション作品に深く携わる浦本雅史(マニピュレーター)は、バンドの音源をもとにライブ用の電子音パートを構築する仕事ぶりを語り、彼がいなければライブが成立しない、まさに第6のメンバーとして紹介される。サカナクション・山口は4人のプロフェッショナルについて「人生で自分を変えてくれる人って5人くらいかなって思うんですけど、父親以外は全員、チームサカナクションですね」と、その厚い信頼を明らかにしていた。

そして山口は、テレビ初公開となるプライベートスタジオや、あくまでも夢として彼が抱くライブ環境製作について、楽しそうに熱弁を振るう。そのどれもが、「新しい音楽体験を付加価値としてリスナーにもたらす」という思いに裏付けられていて素晴らしいのだが、例えばオーディエンスの頭上に可動式LEDを設置するのは消防法で禁じられているため「ハコ(会場)を作る! 常設だったらOKなんですよ」といった途方もない夢想に辿り着いてしまうため、「アリーナを作る!?」と呆れ顔混じりの笑いを誘ってしまうのだった。

今回の放送を通じて思うことは、サカナクションの最先端ライブ(山口は「マジでやばい。赤字なんですよ」と漏らしていた)を支えるメンバーの発想、そしてプロフェッショナルたちの培われた知恵と技術といったものが、一般的な感覚からすると「変態的」と思えるほど常軌を逸しているということだ。そこまで突き詰めなければ、新しい付加価値は生まれないのである。音楽に限らず、最先端の技術やサービスを支えているものは「変態的」と思えてしまうような事柄だったりする。それを、お茶の間レベルでポップに伝えてしまう『関ジャム』のメディアとしての性質も、大概「変態的」と言えるものなのではないだろうか。最高だ。

今回の放送を締めくくったのは、サカナクションと関ジャニ∞によるセッション。関ジャニ∞からの参加メンバーは錦戸亮(Vo・G)、丸山隆平(B)、村上信五(Key・Cho)で、演奏曲は錦戸のリクエストにより“夜の踊り子”だ。踊り子ダンサーも当然のように迎えられている。アコギを携えた錦戸の、甘い色気を振りまくボーカルが歌い出しを担う“夜の踊り子”は新鮮な手応えで、水の滴るようなキーボードフレーズを奏でつつ「ウォオ、ウォオ♪」のコーラスを差し込むのは村上。山口×錦戸のツインボーカルが昂るブリッジを経てからのサビにかけて、攻め込むようなベースプレイを見せる丸山は実にカッコよかった。お見事。(小池宏和)
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