ハラール肉は「悪」だとしてISISとの関連性を語ったことが話題になった他、「人種差別やファシズムを軽蔑する」としてムスリムへの支持を表明する一方で極右政党「For Britain」を支持していることを認めているモリッシー。
矛盾しているとも言えるモリッシーのこうした言動を受け、「元」モリッシー・ファンとなった人たちが人種差別に抗議するイベントを企画していることが明らかになった。
「The Guardian」によると、「One Nation Under A Groove」と銘打った同イベントは、先日逮捕された極右政治団体E.D.L.(イングランド防衛同盟)のトミー・ロビンソンに対するメディアの扱いについて、モリッシーが「ショッキングだ」と批判したことに抗議するために計画されたものだという。
トミー・ロビンソンが創設したE.D.L.は、英国在住のイスラム圏移民の排斥を目的とした団体だ。ロビンソン自身はムスリムたちとの交流を通し自身の政治的見解を改めたとのことで、同団体を2013年に脱退。その後はイスラム圏移民の女性たちばかりを狙い性的犯罪を犯している犯罪グループを追い、彼らの動向をストリーミング配信し続けていた。
そして今年の5月、この犯罪グループの裁判を裁判所の外でレポートしていたところ、法廷侮辱罪に問われ13ヶ月の服役を命じられることとなった。
このロビンソンの逮捕は言論の自由、そして報道の自由の観点から多くの反対の声も挙がっている他、E.D.L.の創設者として多数のイスラム圏移民の反感を買っていることから服役中のロビンソンの命が危険にさらされているとして、デモ行進なども行われている。
そして今回、モリッシーがこのロビンソンの逮捕に反対の声を挙げたことを受け、元モリッシー・ファンたち「One Nation Under A Groove」というイベントを企画。同イベントは現地時間7月7日と8日にマンチェスターのCastlefield Bowlで行なわれるモリッシーの公演に合わせて開催される予定とのことだ。
「One Nation Under A Groove」のFacebookページには、「軋轢を産むようなモリッシーの発言、そして極右的な政見」に反対するために開催すると明記されている。
一方では、このイベントの開催を報じた「The Guardian」のニュースを受け、モリッシーのマネージャーがFacebookに声明を発表している。声明の内容は以下の通り。
「The Guardian」はまた誤解している!
現実的に考えてみましょう。“元モリッシー・ファン達”は何も計画していません。あの(「One Nation Under A Groove」の主催者)の元有名人のハスラム(元ハシエンダのDJ、デイヴ・ハスラム)という人物がモリッシー・ファンだったことはありません。
それに彼の意図は、平和を広めるために音楽を使うということだそうですが、これほど真実からかけ離れていることはありません。彼はただ単にこの状況を利用して、喉から手が出るほど欲しかった自分への注目を集めようとしているだけなのです。
どうも彼の老後は安泰ではないようですね。もし彼が本当に政治的意見を表明したかったのだとしたら、政治家について発言したはずです。ですが、ここで彼が求めているのはそんなことではありません。自分自身の思惑のためにこの機会を利用しているのです。結局、でたらめはどうやってもでたらめです。
我々は、音楽を作り、音楽を演奏する仕事をしています。実際のところ政治やでたらめを扱う仕事をしているのではありません。そういったことはハスラム氏や「The Guardian」の編集者のような政治家気取りにお任せします。
Peter Katsis
Deckstar Mgmt」
なお、モリッシーは7月に予定していたUKとヨーロッパの全てのツアーを延期することを発表。
延期となった日程には7月7日と8日のマンチェスター公演も含まれているが、本記事執筆時点では「One Nation Under A Groove」はそのまま開催される予定となっている。