「フレッシュン・アップ」ツアー全公演でジミ・ヘンドリックスを追悼する、ポール・マッカートニー。その背景と理由とは

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現在「フレッシュン・アップ」ツアーの日本日程を開催中のポール・マッカートニーだが、同ツアーのすべての公演でジミ・ヘンドリックスを追悼している。

ポールは近年のライブで演奏している“Let Me Roll It”の最後に、「ジミ・ヘンドリックスに捧ぐ」とコメントしジミ・ヘンドリックスの“Foxey Lady”をメドレー形式で演奏しているのだ。

ジミ・ヘンドリックスが亡くなる1年前の1969年、ポールとジミ・ヘンドリックスはマイルス・デイビスらと共に空前絶後のスーパーバンドを組む寸前だったという。アラン・ダグラスをプロデューサーに、ジミとマイルス、そして当時のマイルスのバンドでドラマーを務めていたトニー・ウィリアムスの3人がレコード制作を計画しており、その企画の中でポールにベーシストとしてバンドに加わるよう正式な依頼が出されていたというのだ。

結果、ポールがスコットランドで休暇中であったため実現には至らなかったものの、その電報はプラハのハード・ロック・カフェによってオークションで落札され、展示されている。

また、もう一つ、2人の関係を示すエピソードとして、ジミがギターに火をつけたことで伝説となった「モントレー・フェスティバル」の一件が挙げられている、ジミ・ヘンドリックスのDVD『ヒア・マイ・トレインAカミン』の中で、ポールは以下のように証言している。

ママス&パパスのジョンに「モントレーに、ビートルズも参加しないか?」と誘われたんだ。そのとき僕たちは『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』から『マジカル・ミステリー・ツアー』プロジェクトでずっとスタジオに缶詰だった時期だったから、出演できなかった。

「でも、凄いヤツがいる」とジミを紹介したら、最初は「ジミって誰?」と戸惑っていたんだけど、「そいつは凄いの?」と聞くから「勿論さ」と答えたよ。そしたらジミの出演が決まったんだ。



今月、11月9日にはザ・ビートルズの『ザ・ビートルズ(ホワイト・アルバム)』の発売50周年記念エディションが、そして11月21日にジミ・ヘンドリックスの『エレクトリック・レディランド』50周年記念盤がそれぞれリリースされる。

ちなみに、『エレクトリック・レディランド』は当初女性の裸を使用したジャケットでリリースされていたが、ジミ自身はこのジャケットをひどく嫌っていたようで、近年は遺族の意向により全世界共通でUS盤の顔のアップのデザインのものが使われていた。

「フレッシュン・アップ」ツアー全公演でジミ・ヘンドリックスを追悼する、ポール・マッカートニー。その背景と理由とは - 『エレクトリック・レディランド』英国盤ジャケット『エレクトリック・レディランド』英国盤ジャケット

今回の『エレクトリック・レディランド』50周年記念盤では、ようやくジミが元々採用したいと思っていたジャケット・デザインで新装発売されるが、実はそのジャケット写真を撮影したのは、のちにポールの妻となったリンダ・イーストマン(リンダ・マッカートニー)だったのだという。

当時、ジミはアルバムのアートワークを指示する手紙の中で、「表か外側には是非、銅像のところでキッズと写っている僕たちのカラー写真を使ってください」と記していたようだ。なお、リンダが撮影した同ジャケット写真は、ニューヨークのセントラル・パークにある「不思議の国のアリス」像にて撮影されている。

「フレッシュン・アップ」ツアー全公演でジミ・ヘンドリックスを追悼する、ポール・マッカートニー。その背景と理由とは - 『エレクトリック・レディランド50周年記念』ジャケット写真『エレクトリック・レディランド50周年記念』ジャケット写真

なお、『エレクトリック・レディランド』50周年記念盤の日本盤は11月21日に発売され、その前日11月20日には1973年のライブ・ドキュメンタリー『ジミ・ヘンドリックス』がZepp DiverCityとZepp Nambaにて、一夜限定でライブハウス上映されることが決定している



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