美しい岡崎体育=“龍”という楽曲について真剣に考えた

一時は、ニューアルバム『SAITAMA』のリリースタイミングで新作ミュージックビデオは届けられないのか?という思いが頭をよぎったけれども、リリース当日の1月9日夜に晴れて“龍”のMVが、次いで翌10日に“からだ”のMVが公開された。『SAITAMA』の中でも飛び抜けて美しいメロディと歌心を持つ“龍”を、しかもフルアニメーションの幻想的なビデオでいきなり届けてきたことに、彼の本気が伺えるというものだろう。

シンプルなピアノのコードに導かれた、内省的ではあるが壮大なイマジネーションの広がりを伝える歌。実家の自室から数々の楽曲を生み出し、布団を広げて数えきれない夜を潜り抜けてきた岡崎体育の夢想は、今や巨大な龍と化して世間をバズらせ、6月9日のさいたまスーパーアリーナワンマンにリーチしようとしている。

《うろこは剥がれ落ち ぼろぼろになっても/痛みに名前はない 時に癒されていくだけ》という歌詞が、とりわけ印象深い。アニメーションの龍はこのとき、美しく鱗を撒き散らして飛び立ってゆく。古来、「龍鱗」とは、英雄の威光を指す言葉でもあるのだそうだ。一時の話題性は移ろいやすい。でも、純粋な情熱を注ぎ込んだ孤独な時間と空間だけは、決して誰にも譲れない。そんな普遍的な価値を珠玉のメロディと歌詞に紡ぎ上げリスナーと共有する、感動的なナンバーである。(小池宏和)

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