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    北海道から沖縄まで「地元ラブ」ソングの名曲とは?

    「東京」を歌ったロック/ポップソングの名曲14では、ミュージシャンたちが見たそれぞれの「東京」が描かれた「東京ソング」をお届けしましたが、今回は「地元愛」を歌った曲を紹介します。ミュージシャンたちが描いた「東京」の姿が全く違っていたように、「地元」の映し方も全く違います。みなさんも、ご自身の「ふるさと」を思い出しながら聴いてみてください。(林なな)


    (地方順およびアーティスト50音順)


    【北海道】GLAY/“Winter, again”

    まずは北の国・北海道から。ラストの《想い出には、二人が歩いた足跡を残して…》という歌詞が切ない。二人の時間が永遠に続くとは限らないのだと、北海道の雪景色に描かれた恋の唄。

    【岩手】きのこ帝国/“桜が咲く前に”

    “東京”が世に放たれた約半年後に発表された楽曲で、MVの舞台は佐藤千亜妃(Vo・G)の地元である岩手県。この地は、桜が満開になるのが大体5月初旬なのだという。「桜が咲く前」はきっと誰しもがワクワクする季節のはずなのに、曲終盤に響く佐藤の声とフィンガーノイズが儚さを物語る。

    【福島】猪苗代湖ズ/“I love you & I need you ふくしま”

    猪苗代湖ズは、サンボマスター・山口隆(Vo・G)、風とロック・箭内道彦(G)、TOKYO No.1 SOUL SET/THE ZOOT16・渡辺俊美(B)、THE BACK HORN・松田晋二(Dr)の福島県出身の4人で結成された。東日本大震災発生の9日後に配信リリースされ、彼らの愛する地元「ふくしま」のために歌われた曲。

    【神奈川】ASIAN KUNG-FU GENERATION/“藤沢ルーザー”

    人生の選択において自分の自由意志を尊重し、「自由であれ」と歌われるこのナンバー。この曲が1曲目に収録されているアルバム『サーフ ブンガク カマクラ』は、全曲に江ノ電の駅名が付いているという、言わば「神奈川愛」の塊のような作品だ。

    【神奈川】ゆず/“桜木町”

    ゆずが長年にわたって路上ライブを行っていた伊勢佐木町――の近くにある「桜木町」の名をそのままタイトルに。ピアノのメロディから始まる爽やかなサウンドスケープとともに、神奈川の地を舞台に恋の別れを描いた曲。

    【新潟】My Hair is Bad/“ホームタウン”

    椎木知仁(G・Vo)は、なぜいつも「新潟県上越市から来ました!」とライブで言うのか、そのひとつの答えのような気がする。語り口調で歌われる《愛している 愛されてる/たまに愛していない でも愛してくれる》という言葉には、地元へ抱いた愛情も、嫌悪も、全部が詰まっている。

    【京都】岡崎体育/“鴨川等間隔”

    サビでは、《寄り添う恋人達》のことを《鴨川》に架けられた《橋の上》から見て、《見下ろしながら見下される》気分が綴られている。ちなみに、この曲のMVのロケは、ほとんど宇治で行われている(しかも映っているのは鴨川じゃなくて宇治川!)。

    【大阪】奥田民生/“ルート2”

    大阪と福岡を繋ぐ国道2号線の名を冠した楽曲。歌の主人公は、相棒であるバイクに跨り、この国道が続く先――さらに西へと向かう。ちなみに、国道2号線はユニコーンの結成ゆかりの地・広島も通る。

    【大阪】関ジャニ∞/“大阪ロマネスク”

    “好きやねん、大阪。”などもあるが、より「愛」を歌っているのはやはりこの曲ではないだろうか。《恋をするなら 御堂筋から始まるのさ》という言葉から「梅田」、「心斎橋」、「難波」、「戎橋」といった具合に大阪の地名や建造物名が出てくる。和の雰囲気を醸し出すメロディと甘気を含んだ歌詞が絶妙にマッチしていて、癖になる一曲。

    【徳島】チャットモンチー/“青春の一番札所”

    開始早々《阿波踊りはもう飽きるほど見とる》という方言が放たれ、その後も地元・徳島を流れる川や特産品の名などが並ぶ。サビでの《乾杯!!》という言葉と同時に聴こえてくるグラスとグラスを当て合う音に、《すだち酒》が恋しくなる方もいるのでは。

    【福岡】椎名林檎/“正しい街”

    この曲が収録されたアルバム『無罪モラトリアム』がリリースされた当時の椎名は20歳。上京してから芽生えた地元・福岡への郷愁を「百道浜」や「室見川」といった福岡の地名に含ませ、恋人への想いはほかの言葉と音に込めた。2018年に発売された椎名のトリビュートアルバム『アダムとイヴの林檎』では、同じく福岡出身のスピッツ草野マサムネ(Vo・G)がボーカルを務めたスペシャルバンドがこの曲をカバーした。

    【福岡】スピッツ/“さわって・変わって”

    《天神駅の改札口で 君のよれた笑顔》と、「君」との待ち合わせ場所が草野の地元・福岡の駅名。ほかにも、“潮騒ちゃん”では歌詞に福岡の方言を含ませた。

    【沖縄】MONGOL800/“琉球愛歌”

    かつて沖縄が強いられた状況と平和のことを口にしながら、誰かのことを想った愛が綴られたラブソング。なぜこの曲に“琉球愛歌”という名前が付けられたのか、一度聴いたらわかるはずだ。


    「東京」を歌ったロック/ポップソングの名曲14はこちら。
    「東京」を歌ったロック/ポップソングの名曲14
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    「東京」を歌ったロック/ポップソングの名曲14
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