King Gnuがスリリングに視聴者を釘付けにした『Mステ』初出演について

King Gnuが、坂口健太郎主演TVドラマ『イノセンス 冤罪弁護士』のために書き下ろした主題歌“白日”の配信リリース日である2月22日に、『ミュージックステーション』に初出演した。披露された楽曲は今年1月にリリースしたメジャーデビューアルバム『Sympa』収録曲の“Slumberland”だ。

『ミュージックステーション』では、パフォーマンス時に歌詞を踏襲した演出を組むことも多い。今回の“Slumberland”では歌詞中にある「TV」が用いられ、バンドセットのなかにTVが4台置かれていた。この曲のメインボーカルを務める常田大希(G・Vo)の顔が大きく映るTVの横で、拡声器を持ち革張りのソファーに掛ける常田の首から下が映っているシーンからスタート。彼の頭と身体がちぐはぐのように見えるそのカットは、楽曲の根底にある焦燥感や違和感をおぼえる世間に戸惑う様子を視覚的に表現していたようにも思えた。

だがその後、常田の顔が映し出されたTVと他メンバーが演奏するシーンに変わり、途中からカメラは常田の全身を映す。すると井口理(Vo・Key)の周りとTVには、同曲のMVにも登場するマペットが出現した。このTV映像やカメラワークは、常田の等身大の気持ちに、メンバーというシンパ、そして最終的にそれ以上の様々なシンパが集いKing Gnuの群れを成すような印象を「TV」という媒介で表現する、すなわち番組の視聴者を巻き込むという粋な演出だった。この日同じくゲストとして出演していたSexy Zoneの菊池風磨はKing Gnuのことを「エッジの効いた現代アート」と言っていたが、まさにその言葉が相応しいだろう。

生演奏ゆえ拡声器から生々しく響く常田の声は音楽番組の音声としてはあきらかに異質で、否が応でもスリリング。井口は差し色的な歌唱をしつつ、パフォーマー的ポジションに徹する。ただそのインパクトは絶大だ。勢喜遊(Dr・Sampler)がドラムソロをきめ、スティックを放り投げて演奏はフィニッシュ。短尺ながら演出、演奏ともに彼らの特色やポリシーが凝縮された見事なパフォーマンスであった。

そして『ミュージックステーション』をはじめ、音楽番組に多い歌詞のテロップ表示もいい仕事をしていた。圧倒的な王者感がある、スタイリッシュでありながらパンチのあるパフォーマンスと同時に、弱者が持つカウンター精神や素朴さ、青くささが綴られた歌詞が文字として飛び込んでくることも、バンドにとって意味深いことだったのではないだろうか。

オープニングの登場シーンで井口が暴れながら階段を駆け下りたり、CM前の提供バックで常田が変顔を見せるなどのポップなアプローチも。2019年、揺るぎない信念と美学を持ち、とうとう本格的にJ-POPシーンへと乗り出したKing Gnu。彼らが成すシンパの群れは今後どれだけ大きくなるだろうか。(沖さやこ)
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