オーストラリアのシドニーにあるマッコーリー大学の音楽研究機関が行なった新たな研究で、デス・メタルは暴力ではなく喜びを喚起するという結果が報告されていることが明らかになった。
「BBC News」によると、Bill Thompson教授とリサーチ・スタッフが32名のデス・メタル・ファンとファンではない48名を被験者とし、デス・メタルもしくはポップを聴きながら不愉快な画像を見せるという研究を実施。
使用された楽曲は、ブラッドバスの“Eaten”(同バンドが2004年に発表した『Nightmares Made Flesh』収録)と、ファレル・ウィリアムスの“Happy”の2曲とのことだ。
「binocular rivalry(両眼視野闘争)」と称されるこの実験は、参加者の脳がどの程度暴力的シーンを認識するかを測定し、参加者の感受性がどの程度聴いている音楽による影響を受けるのかを明らかにする試みだという。参加者はそれぞれ、“Eaten”と“Happy”を聴いている間に暴力的シーンと中立的シーンを見せられる。
この結果として、Thompson教授が明かしたところによると「(デス・メタル)ファンの暴力的な画像に対する先入観は、ファンではない参加者とまったく同じだった」のだという。
さらに、「(デス・メタル)ファンはいい人たちです。彼らがわざわざ誰かを傷つけようとすることはありません。多くの人は悲しい音楽を好んで聴きますが、それはちょっとした矛盾です。なぜ私たちは自ら悲しい思いをしたいのでしょうか?」ともコメントし、以下のように続けている。
同じことが攻撃的または暴力的なテーマを持った音楽にも言えます。そこには心理的な矛盾があります。我々はそれは興味深いことだと思いますし、同時にメディアにおける暴力が社会的に重大な問題であることも認識しています。
この(デス・メタル)音楽が喚起する主な感情は喜びとエンパワメントです。この音楽を聴いて、それを勇気付けられる素晴らしい経験に変換するというのは、驚くべきことだと思います。