ストレイテナーが始まりの街“吉祥寺”で第二の人生を歩むMVを観た

ストレイテナーが、10月9日に新ミニアルバム『Blank Map』をリリースした。バンド結成20周年を経て最初のミニアルバムが「白地図」というタイトル。まだまだ未知の世界へと歩んでいくという姿勢を示してくれているようで、とても嬉しい。

『Blank Map』リリースと同時に、リード曲となる“吉祥寺”のMVも公開されている。実在の地名、それもバンドの思い出が詰まった街を冠した楽曲が、リード曲を担う……それだけで驚き、楽しみにしていたけれど、MVでは「テナー解散後の世界」が描かれている。そんなこと考えたくない! とちょっとだけ不安になった。バンド解散後、メンバー4人はそれぞれ別の職業に就いているが、ある出会いが再びバンドを動かし始める――という内容。シンペイはスタジオスタッフ、ひなっちはアパレル店員、OJはバーテンダー、そしてホリエはタクシー運転手……という展開もなんだか微笑ましいが、やっぱり演奏シーンがいちばん似合っているのが泣ける。「解散後の世界」が「もしもの世界」で本当に安心する。


一方で、どんなバンドでも結成した以上、解散という可能性はゼロにはならないのだと思う。テナーにだって、ひょっとしたらこんな未来があったかもしれない、と思うと、バンドが続くすごさが改めて身に染みる。
しかし、バンドが歩みを止めたとしても、人生は続く。同時に、生み出された音楽は消えることはないし、積み重ねた日々も消えない。街が変化するように、誰もが少しずつ変わっていく中で、出会った頃の不安や、この街に落とした涙のことをいつか忘れてしまったとしても、それらは巡り巡って自身に還ってきて、また新たな物語が動き出す力になってくれることがある。“吉祥寺”のMVを観て、その奇跡についても思わずにいられなかった。

また、“吉祥寺”MVは15年前に発表された“REMINDER”MVの世界観を踏襲しているということで、あわせて観るとまた感慨深い。


このときOJはまだ加入前。結成以来誰一人こぼさず、それどころかひとり、またひとりと仲間を増やし、軽やかに変化しながらここまでやってきたバンドの歩みを想うと、グッとくるものがある。
なおこちらでもメンバーの演技が見られるが、初々しい姿につい笑ってしまう。だからこそ、“吉祥寺”で見せる穏やかな笑顔が、いっそう意味のあるものに感じてならない。(徳永留依子)
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