曲ごとのストーリーが前作よりも首尾一貫している。プロットがある曲も多い。たぶん前よりも自信がついたからだと思う。抽象的なものに隠れる必要を感じなかったんだ
ダブリンから彗星の如く登場し、デビュー・アルバム『ドグレル』が2019年のギター・ロックを代表する一作として絶賛されたフォンテインズD.C.。
あれからわずか1年と少しでリリースされる新作『ヒーローズ・デス』は、ツアーに明け暮れる日々の中で一時は精神的にどん底まで落ちた彼らが、再びその胸にパンク・ロックへの情熱を灯し、自分を取り戻すまでの克明なドキュメントになっている。
結果、潔くミニマルだった前作譲りのポスト・パンク・サウンドにハーモニーが生じ、エコーやリバーブによって奥行きを得た本作は、硬質なナイービティとダーク・ロマンが拮抗する新たな傑作に仕上がった。
真っ直ぐにバンドの本質を語るグリアン・チャッテン(Vo)の本誌初インタビューと共に『ヒーローズ・デス』を聴くと、この時代にフォンテインズがいてくれて本当によかったと思えるはずだ。(粉川しの)
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