「カート・コバーンにはとても触発されたよ。大した男だった。最高と呼べる人々のひとりだが、それ以上の存在だ。俺にとって、彼は全ての時代を通じて間違いなくベストに数えられるひとりだ」
“アーカイブ”音源のリリースが、これほどスリリングなものになり得るのだと思い知らされたのは、ニール・ヤングのおかげだ。単なるお宝発掘、ノスタルジーの枠を超え、固定された評価や認識が簡単にひっくり返されたりするのだから、一瞬たりとも油断できない。
”Performance”、”Official Bootleg”、”Official Release”など各シリーズがあり、ファン以外には何が何やらかもしれないが、驚くばかり緻密に保存された過去の音源、リサーチっぷりには、いっけん思いつきの連続のように見える活動の奥にある、この人のもうひとつの素顔が見えてくる。
最近も代表作の『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』50周年記念エディションや、別格とも言えるボックス第2弾(CD10枚組!)が発表と落ち着く気配もない。そんな時期だからこそ、下積み時代からCSN&Y、重要なアルバム、さらにカート・コバーンへの思いなどを素直に語ったこのインタビューは、いかにブレることなく自身の音楽に向かい合い、年輪を刻んできたのかがわかるし、その延長の“アーカイブ”シリーズもまた、あれほどスリリングなのだと納得がいく。(大鷹俊一)
ニール・ヤングのインタビューは、現在発売中の『ロッキング・オン』2月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。