「20年も経てば残るのはレコードと写真だけ。意味のあることをやっていれば、それが永遠に生き続けるわけだから、重要なのはそこなんだよ」
01年の3rd『ホワイト・ブラッド・セルズ』において「ブルースの真のモダナイズ」というコンセプトが最初の完成を見せ、次作『エレファント』で名実共に頂点に躍り出てから11年の解散までの間、ザ・ホワイト・ストライプスは英国のレディオヘッドと双頭で00年代ロックの革新を牽引するトップランナーで在り続けた。
このインタビューはその契機にして未だ色褪せぬ金字塔『エレファント』リリース前夜のもので、破竹の勢いのさ中にある興奮ゆえか、今では米国音楽シーンを代表する巨人のひとりであるジャック・ホワイトが極めて率直に、出自であるデトロイトやブルースに射抜かれた原体験などを含め己の内をさらけ出すように語っており、実に貴重な内容になっている。
特に彼の表現の根幹を成す「制約と規則」に関する力強さと正しさに満ちたコメントは、決定版と言うべきものだろう。また、この時点ですでに終焉を予期させる言葉を残しているのも示唆的で、胸が締め付けられるようだが、そんな男が率いていたからこそ、このバンドの物語は一分の隙もなく美しいまま完結したのだろう。
今回リリースのベスト盤を聴き通し、改めて無二の存在だったのだと痛感する。(長瀬昇)
ザ・ホワイト・ストライプスのインタビューは、現在発売中の『ロッキング・オン』3月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。