『ロード・オブ・カオス』、いよいよ3月公開! シガー・ロスやスカイ・フェレイラも参加した怪作は、全ての音楽ファンを惹きつける?!

『ロード・オブ・カオス』、いよいよ3月公開! シガー・ロスやスカイ・フェレイラも参加した怪作は、全ての音楽ファンを惹きつける?!

暗黒の世界にも純粋さは存在し、その純粋さゆえに闇はいっそう深いものになる。そんなことを考えさせられる映画の登場だ。この3月に劇場公開を迎える『ロード・オブ・カオス』は、簡潔に説明するなら「ブラック・メタル界の先駆者、メイヘムをめぐる実話をもとにした作品」ということになる。

ただ、そこで「その種のジャンルについては門外漢だから」と興味を遮断せずにおいて欲しい。確かにメイヘムの音楽や歴史、ノルウェー界隈のメタル事情に精通している人たちにはより切実に響くものがあるはずだが、この物語には、「事実は小説より奇なり」と言うしかないリアルな狂気、ドキュメンタリー的な説得力、さらには青春群像劇的な味わいまでが伴っている

物語の舞台となっているのは1980年代末から1990年代前半にかけてのオスロ。メイヘム周辺の歴史はメンバーの自殺、教会連続放火、バンド内での殺人といった事件により血なまぐさく彩られている。その根底には狂信的な悪魔崇拝があったわけだが、それはある意味、自分たちだけの王国を創ろうとするピュアで無邪気なアンダーグラウンド精神のひとつの形でもあった。

このシーンにおける逸話の数々は2009年に日本語版が刊行された『ブラック・メタルの血塗られた歴史』という書籍にも綴られているが、この映画はまさにその歴史の肝となる部分が凝縮されたかのような内容になっている。

しかも監督を務めているのは、ブラック・メタルの創始者的存在のひとつに数えられるバソリーの一員だった過去のあるジョナス・アカーランド。1988年に映像分野へと転身した彼は、2002年には『SPUN(スパン)』で映画監督デビューを果たし、マドンナポール・マッカートニーとの仕事ではグラミー賞にも輝いている。

そして、主演は『ホーム・アローン』シリーズでお馴染みのマコーレー・カルキンの実弟にあたるロリー・カルキン。かのヴァル・キルマーの血を引くジャック・キルマー、女優である以前にシンガーでもあるスカイ・フェレイラといった顔ぶれがその脇を固めている。加えて、意外にもシガー・ロスが音楽を担当しているという事実を見逃すわけにはいかない。

本作公開を機にブラック・メタルが広く一般化するようなことは、まずないだろう。が、音楽ファンとして無視するわけにいかない映画であることは確実だし、きっとあなたにも何かしらの気付きをもたらすことになるに違いない。だから、この狂気から目を逸らさずにいて欲しい。(増田勇一)



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