テイラー・スウィフト、「テイラーズ・ヴァージョン」に込めたSSWとしての確固たる意志――未発表6曲を収録した『フィアレス』奪還のタイム・トラベルまで、カウントダウン開始!

テイラー・スウィフト、「テイラーズ・ヴァージョン」に込めたSSWとしての確固たる意志――未発表6曲を収録した『フィアレス』奪還のタイム・トラベルまで、カウントダウン開始! - 『rockin'on』2021年4月号より『rockin'on』2021年4月号より

アーティスト像を塗り替える2枚のアルバムの連続リリースを経て、テイラー・スウィフトが、以前所属していたレーベル、ビッグ・マシーン・レコード時代の6作品の再録という次なるプロジェクトを始動。第一弾として4月9日に、カントリーとポップをまたにかける記録的ヒット作品となった2nd『フィアレス』(2008年)の再録バージョンを発売する。これはご存知の通り、同レーベルが買収されて原盤の権利が第三者の手に渡ったことに端を発し、昨秋法的にレコーディングが可能になるや、テイラーは早速作業を開始。決定版のマスターを作ってオリジナル音源の価値を下げる狙いもあるはずだが、それ以上に、その時々の想いを楽曲に細かに記録してきた彼女にとっては、自分の歴史を奪還しキャリアの主導権を取り戻すプロセスでもあるのだろう。

『フィアレス』の再録にあたっては、オリジナルが生まれたナッシュビルのブラックバード・スタジオで、当時も参加した奏者と現在のバンドを交え、カントリー畑のクリストファー・ロウとの共同プロデュースでセッションを敢行。“ラヴ・ストーリー(テイラーズ・ヴァージョン)”を聴く限りアレンジは2008年版に極めて忠実で、違いがあるのは声と音色だ。生真面目で軽くこぶしが効いていた歌は柔らかな深みを帯び、楽器の音をひとつひとつ鮮明に描くオーガニックな音の感触が新鮮極まりない。

そもそもセルフ・カバーと言えばスタイルを刷新するのが常で、オリジナルを尊重しつつ、その良さを最大限に引き出すというアプローチは非常に珍しい。かつ難易度も高く、しかもこれだけのボリュームで挑戦する本企画からは、今のテイラーの創造欲や自信がうかがえるというもの。本人も今回の体験を「エキサイティングで、クリエイティブな意味で充実感がある」と評し、たくさんのサプライズを予告している。例えば、ポップ期のエレクトロニックなサウンドをどうアップデートするのか? 大勢のコラボレーターを再結集するのか? 気になる点は多々あるが、彼女のことだから、そのサプライズも含めて、我々を納得させる答えを用意しているのだろう。(新谷洋子)



テイラー・スウィフトの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』4月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。


テイラー・スウィフト、「テイラーズ・ヴァージョン」に込めたSSWとしての確固たる意志――未発表6曲を収録した『フィアレス』奪還のタイム・トラベルまで、カウントダウン開始! - 『rockin'on』2021年4月号『rockin'on』2021年4月号
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