「新しい家でギターに巡り合った――チューニングしてなくてね、それまで誰も弾いてなかったんじゃないかな。そのうち友達からいくつかコードを教えてもらった。それで決まりさ。ロックンロールを耳にした途端に見事に感染してしまった。治療法はなく、治してほしいとも思わなかった」
セルフ・ヒストリーという観点からすれば、これはジミー・ペイジのインタビューの決定版だろう。ごくごく幼い頃の奇跡のような音楽体験の数々に始まり、アマチュア時代、若きスタジオ・ミュージシャンとして、同世代の誰もしたことがない体験の数々、さらにザ・ヤードバーズ、レッド・ツェッペリンと続く歩みを追いつつ、当時の音楽シーンの様子や歴史的なバンド、アーティストたちとの出会いなどが、これでもかと披露されていく。
もちろんツェッペリンの話もたっぷりだが、それ以上に〈ジミー・ペイジ〉という人が体験してきたバンドやセッションなどへの言及がとにかく興味深い。ストーンズとのレコーディング話やXYZのプロジェクトなど、どれもこれも興味深いものばかりだが、少しももったいぶったり隠したりせず、当時の気持ちや、その時の思いをストレートに話してくれているのが何よりもよい。
しかも、「まだこの先に何かがあるぞ」と匂わせてくれるのも、さすがファンの気持ちをよくわかっている。しばらく聴いていなかった、ここに出てくる作品に改めて向き合いたくなるインタビューだ。（大鷹俊一）
ジミー・ペイジのインタビューは、現在発売中の『ロッキング・オン』6月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。
『rockin'on』2021年6月号
