ロッキング・オンが選ぶ究極のロック・ドラマー43選/ジンジャー・ベイカー

ロッキング・オン6月号では、「究極のギタリスト」を特集しています。そこでギタリスト特集とあわせて 、昨年の9月号に掲載したロッキング・オンが選ぶ「究極のロック・ドラマー」を43日にわたり、毎日1人ずつご紹介します。

「究極のロック・ドラマー」に選ばれたアーティストはこちら。

ジンジャー・ベイカー(クリーム、ジンジャー・ベイカーズ・エアフォース)

ロッキング・オンが選ぶ究極のロック・ドラマー43選/ジンジャー・ベイカー

ジンジャー・ベイカーは、ロック史上で最初にあらわれたスーパー・ドラマーだったと言っていい。ジンジャーは当初ブリティッシュ・ジャズ〜ブルース畑のドラマーだった。しかし野心に満ちた若者だったジンジャーは、ジャズやブルースといった狭いカテゴリーにおさまるつもりはなかった。そこでヤードバーズのスター・ギタリストだったエリック・クラプトンと、旧知のジャック・ブルースを誘いクリームを結成。当時すでに3人はブルース、ジャズ畑でトップと認められる実力者揃いだったが、意欲に満ちたミュージシャンたちの冒険心と実験精神が、ジャズもブルースもロックンロールも超えた新しいロックを創り出したのである。

この3人が対等の立場で正面からぶつかりあい丁々発止のインプロビゼーションを繰り広げるクリームのライブはたちまち大評判となり、彼らはスーパーグループの仲間入りを果たした。ジンジャーのロック・ドラマーとしての声価はここで確立されたと言っていい。

だがジンジャーの本領発揮はそれからだ。クリームで最新型ロックの頂点に立ったジンジャーは1969年末に10人編成のバンド、ジンジャー・ベイカーズ・エアフォースを結成。当代一のテクニシャンは自らの技量を頼りにしたエゴイスティックなインプロビゼーションの応酬というクリーム的イディオムを脱し、大編成による集団即興と集団表現、ダンサブルなアフロ・ジャズ・ファンク・グルーヴのダイナミズムに活路を見いだしたのである。

これは少なくとも10年は時代に先駆けた試みだったし、1970年発表のファースト・アルバム『Ginger Baker's Air Force』は、未だに古びることのないバイタリティの宝庫だ。また、ナイジェリアのアフロビートの巨人フェラ・クティとの共演盤を残すなど、のちに言うワールド・ミュージック的アプローチの先駆的役割を果たしたことも忘れられない。
 
ドラマーとしてのジンジャーのスタイルは、飛び抜けたテクニックに裏打ちされたスマートでセンスのあるプレイに集約される。クリーム時代のインプロバイザーとしての印象が未だ強いが、むしろ音楽をリズムを軸としたトータルな総合表現として捉え、その中のピースとして自分のドラム・プレイを位置づけるバランス感覚こそがジンジャー・ベイカーだったと考える。(小野島大)



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