前作『Real』から約5年ぶりとなる6thオリジナルアルバム『Shape the water』は、flumpool史上最もポップに開かれたアルバムであると同時に、ロックバンドとしてのタフネスやスケール感を最も感じさせる作品でもある。「自分ってなんだ?」を突き詰めた結果、「結局わかんないじゃん」に繋がった。
「わかんないから面白いんだよな」というので、音楽をやってる気がしたんです
これまでにも『EGG』のように前のめりなロック色を前面に打ち出したアルバムもあったし、『Real』での“不透明人間”や“HELP”など、自問自答を通してロックの内省感を刻み込んだ楽曲もあった。が、晴れやかなホーンサウンドとともに《未来は明るいかい?》と呼びかける“Keep it up!!”しかり、力強いアンサンブルとともに《君と歌い続けて ここから/巻き起こせ風》と歌い上げる“アラシノヨルニ”しかり、今作でのflumpoolは、人と人との「わかりあえなさ」すらも受け止めるような包容力を備えたロックとして響く。
2008年当時、シーンの中でもとりわけ端正な音楽性のバンドとしてデビューしたflumpoolは、ロックともポップとも一定の距離を保つべく、常に自己批評を続けてきたバンドでもあった。が、ロックとポップを対立項とする価値観は、今作には存在しない。リスナーに対して自らを開放することによって、ロックとしての輝度も強度も格段に押し広げてみせた──それが最新作『Shape the water』だ。
そんな作品が生まれた今こそ改めて、flumpoolのロック観・ポップ観に迫っておくべきだと思った。
結果、以下の山村隆太(Vo)のインタビューは、彼自身の音楽やコミュニケーションに対する基本姿勢を明確に示すものになった。
テキスト=高橋智樹 撮影=中野敬久
(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年4月号より抜粋)
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