東京ドームという「ハレの舞台」には似つかわしくないくらい、ステージはシンプルだった。殺風景と言ってもいい。装飾の類はほぼ皆無、真ん中に置かれたDJテーブルとステージ中央から客席に延びた花道だけが、これから何が始まるのかを予感させている。だが、R-指定とDJ松永にとってはそれだけで十分、というか、それがすべてなのだ。松永がターンテーブルから繰り出すビートとたった1本のマイクを通して放たれるRの言葉をオーディエンスが受け止め、増幅し、会場いっぱいに反響させる。そんなヒップホップの原風景を最大化したような舞台に、
Creepy Nutsのふたりはその生き様を鮮やかに刻みつけてみせた。
ライブも後半に差し掛かったところで、花道の先にあるセンターステージにひとりで立ったR-指定は「人間の凸凹、アラ、濁り、揺らぎ、それが大好きなんですよ。唯一ブレへんのは、その全部をそのときそのときで歌詞にしてきたこと。ひとりぼっちでも、俺はたぶんラップを選ぶと思います」と口にしてアカペラで“生業”を披露。その曲中、《お前の歌詞、幼稚園児の作文/俺の歌詞、広辞苑10冊分/お前のバース、オートチューンがかかってる》というラインのあと、彼はアドリブでこうラップした。(以下、本誌記事に続く)
テキスト=小川智宏 撮影=Hiroya Brian Nakano、umihayato、Kawado、Kohey Suzuki
(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年4月号ライブレポートより抜粋)
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