2月にSUPER BEAVER、sumika、マカロニえんぴつらを擁するエッグマンが運営する音楽レーベルmurffin discsから所属第1弾作品『NEON EYES』を発表。昨年10月にリリースされTikTokでも話題を集めた“DANDANDANCE”をはじめ全6曲が収録されている。身体に刻みつけるように躍動するビートとがっちりスクラムを組んだ骨太なベース、楽曲を一発で印象づけるギターリフ、キャッチーで中毒性の高いワードをちりばめながらしっかりとロックサウンドたらしめるボーカル。そんな沸々と沸き踊る音像の内側には確かに切迫した感情が渦巻いていて、しかしそんな影にこそ光を当てて、自身が直面する現状さえも浮き彫りにするのだ。
至極内省的な思いを吐き出しながら《私の未来は何処にあるの?》というドキリとする問いかけで終わる“ごく身近な監獄”にも、再録曲 “偽り切ないな”にも、猫セゾなりの必殺サマーチューン“バトルサマーⅢ”にも確かにその陰影は刻まれている。中でも1曲目の“Mazer”はいつになくダークでヘヴィな深層世界に飛び込んでいながらサビでは突き抜けるほどの高揚感を叩きつける。怒りに似た感情の爆発。その振り幅にすっかりやられてしまった。音が言葉を引き連れて、その先でくすぶる感情を呼び覚ます。
ライブバンドとして着実に楽曲を育ててきたからこそ、こうして彼らは聴き手の理解を求める音楽を肉体的に鳴らすのだ。時代の浮き沈みを乱反射するようにうねるネオンロックは今、強烈な光彩を放っている。
文=橋本創
(『ROCKIN'ON JAPAN』2025年4月号より抜粋)
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