M.I.A.、イギリス総選挙と「Born Free」騒動から今日のメディアを語る

M.I.A.、イギリス総選挙と「Born Free」騒動から今日のメディアを語る

総選挙の結果、イギリスの新首相に就いたデヴィッド・キャメロン保守党党首の選挙キャンペーンについてM.I.A.がNMEの動画インタビューで語っている。(http://www.nme.com/news/mia/51038)

その中でM.I.A.は、今回の保守党のキャンペーンは08年のアメリカの民主党のオバマ大統領の選挙キャンペーンに影響を受けたものではないかと語っている。

「保守党のキャンペーンはなんかアメリカの民主党のキャンペーンを踏襲してるみたいだったけど」とM.I.A.は語る。「みんな『自分たちに票を入れてもらえれば、わたしたちが変化をもたらします。ちょっとの変化があれば、希望になります』みたいな文句を撒き散らす感じで。なんか同じようなスローガンが使われてるんだけど、妙にまだるこっしくて、くどくなってるのがすごく印象的というか。でも、それと同時に、なんていうのかな、選挙ポスターとか、ものすごくえげつなくもあったりして」。

さらにM.I.A.はこう加えた。「今回の選挙キャンペーンそのものはかなりクレイジーなものだったと思うけど。中傷合戦を双方で繰り返しているだけで。もう政治が政治として機能していないっていうか。政策とかまるできちんと有権者に説明されていないし、なんだか、本当に興味深い時代を今生きているんだなあって思った」。

「なんだか、おもしろい時代よね。一方ではネットで1対1のコミュニケーションとか、コメントしたり、ブログにしたり、自由に質問とかもできるようになってきてるのに。でもね、ある意味でイギリスってずっとアメリカを追っかけているようなものだから。ということは、ちょっと遅れてるっていうことなのかも」。

また、YouTubeから削除された“Born Free”のビデオについては、ポップ・アイドルのジャスティン・ビーバーのクリップの方がよっぽど侮蔑的だとこちらはNMEのインタビューで語っている。

特に誰もが“Born Free”のビデオの意味についてやたらと詮索されることにとても困惑していると語り、制作の動機などについては語ることを拒否したという。

「わたしにとってはむしろ、ジャスティン・ビーバーの新作ビデオの方が、よっぽど暴力的だし、こちらの視覚や感性を逆撫でするものだと思うけど」とM.I.A.は語っている。

ロメイン・ガヴラス監督による“Born Free”のビデオは性描写や暴力シーンなどを含んでいて、筋書きとしては、思春期の白人の赤毛の少年少女たちが一斉に駆り出され、装甲車に乗せられると僻地へと連行され、そこで銃殺されるか、地雷原を走らされ、爆死させられるというものになっている。

M.I.A.はさらにこう付け加えた。「なんだか誰もがこのビデオの意味を解釈したがってて、それに驚いちゃうんだけど。アメリカン・アパレルの安売りセールが騒動になって、それがバングラ系移民街のブリック・レインで起きたことだったからって『暴動』と報道されるのと同じくらい困惑しちゃうわね。ビデオについてはそのメイキングの詳細をまだ知らないし。ビデオの意味については、まだ考えていないし、考えるのを強いられるのもまっぴらごめんです」。

(c) NME.COM / IPC Media 2010
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