M.I.A.、ハーフタイム・ショーの中指突き立て事件による17億円の賠償請求への声明発表

M.I.A.、ハーフタイム・ショーの中指突き立て事件による17億円の賠償請求への声明発表

2012年のNFLスーパーボウルのマドンナのハーフタイム・ショーに客演したM.I.A.がパフォーマンス中に中指を突き立てことで損害賠償を求めているNFLは、M.I.A.に1660万ドル(約16億9千万円)の和解金を提示したことが明らかになっている。

生中継放送後には連邦放送委員会は222件の苦情を受けたと明らかにしていて、そのうちの大多数はM.I.A.の中指についてのクレームだったとのことで、NFLと放送局のNBCは放送後まもなくして謝罪を行い、その後NFLはM.I.A.に対して損害賠償金請求に動き出したという。

昨年9月の時点でNFLはM.I.A.に対して契約義務違反と「NFLというブランドとスーパーボウルの基盤となっている価値へのあからさまな侮辱」的行為に対して150万ドル(約1億5300万円)の賠償金を求めていたという。そこにさらに上乗せされた1500万ドル(約15億3千万円)近くの金額は、M.I.A.が出演していた2分間分の広告収入の損害金だという。

M.I.A.は「NFLはこれに署名しろと言ってきているわけで、わたしは1600万ドルの上にこれとも闘ってるわけ」とツイッターでNFLが要求している条件額を明らかにしていて、それによれば、NFLはM.I.A.が年収50万ドル(約5100万円)から250万ドル(約2億5500万円)の間の場合には年収の50パーセントを回収し、年収500万ドル(約5億1千万円)を越える場合には全額回収すると要求している。

M.I.A.はこれに対して、こうしたNFLの対応は自分を「NFLに刃向かおうとしたことへの見せしめにしようとする」もので、「賠償要求は法的にも、事実としても、論理的にもなんの根拠も持たない」とM.I.A.は『ザ・ハリウッド・リポーター』誌に発表したNFLへの返答となる抗議文で反論している。

さらに抗議文はNFLの「選手、チーム・オーナー、コーチ陣やマネジメント・スタッフが日頃披露している冒瀆的で、猥雑で、煽情的で、品性に欠けているか受け入れがたい振る舞いを嫌悪する」と訴えていて、同様にこれまでNFLに選定されてハーフタイム・ショーを行ってきたアーティストについても同じことが言えると指摘している。

抗議文ではこれまで様々なアーティストが過剰なパフォーマンスを披露してきていることも問題にし、ジャネット・ジャクソンの「おっぱいポロリ事件」はNFLによって事前に防ぎえた出来事だったことや、さらにマイケル・ジャクソンが“ビリー・ジーン”の演奏で「性器の位置調整」を、つまり股間を摑む仕草を披露していたことも指摘。さらにプリンスはシーツの陰で自身のギターで「勃起した異常な大きさの男根をしごくような、ジミ・ヘンドリックス風の仕草」を影絵にして映してみせたこと、またM.I.A.が出演したマドンナのショーでも年端もいかない女子のダンサーらが「腰を卑猥な仕草で突き出しては間違いなく性行為を思わせていた」とも触れている。また、抗議文はNFLが公式の試合中に「ニガー」という差別用語が相手選手への蔑称として平気で飛び交い、威圧的行為がまかり通っていることについてなんの対策も講じていないことも批判している。

さらに、試合放送では5秒のタイムラグを開けているにもかかわらず、M.I.A.の行為を検閲できなかったことをこの抗議文では指摘していて、NFLと放送したNBC側に責任があるとも批判している。「M.I.A.に対して押し付けられている落ち度や賠償責任はすべてNBCの怠慢によるものとして負担させられるべきだ」と抗議文では訴えている。
公式SNSアカウントをフォローする

最新ブログ

フォローする