レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンが地元ロサンゼルスで11年ぶりの緊急ライブを7月23日に行うことが決まった。
ライブはアリゾナ州法SB1070法への反対を唱えるチャリティ・ライブで、レイジのザック・デ・ラ・ロッチャやブライト・アイズのコナー・オバーストが指揮しているサウンド・ストライクが主催する形で行われる。レイジのほかにもコナーやミスティック・ヴァリー・バンドが出演する。
アリゾナ州SB1070法は、警察が不法入国外国人だと目をつけたらいつどこででも身分を証明する書類の提示を要求できるものになっていて、その場で証明できない場合には身柄を拘留されることも可能にする。ザックはこれを「住民を辱め、犯罪者だと決めつける、州側のキャンペーンだ」と糾弾し、アリゾナ州でのライブ活動をボイコットする運動としてアーティストの参加を募り、サウンド・ストライクを立ち上げた。今回のライブの収益は、アリゾナ州で移民の人権について取り組んでいる団体に寄付されるという。
ザックは99年のローリング・ストーン誌のインタビューで自身が育ったカリフォルニア州アーヴィングで疎外感を味わった経験が人種差別を意識するきっかけとなったと語っていた。「その時、ぼくはこれからは絶対に声を上げてみせると自分に誓ったんだよ。ああいう状況でなにも言わないでおくなんてことはもう絶対にしないと。どのような状況でもどこにいたとしても、必ず声を上げてみせるとね」。
しかし、このサウンド・ストライクは物議もまたかもしていて、アリゾナ州をベースにするコンサート・プロモーターで活動家でもあるチャーリー・レヴィなどは、ロック・コンサートやアート・イベントなどこそが人種差別への反対意見がたたかわされる場でもあるので、アーティストたちがアリゾナ公演をボイコットするということはそうした場を消すことに繋がってしまうと、ザックたちの呼びかけを批判した。
それに対してコナーが今月初旬にビルボート誌で「もしぼくたちが(どっかの市民運動みたいな言い訳をつけて)いつもの仕事モードに戻ってしまったら、それこそこの運動は、音楽における政治活動などという、ただの派手なお題目だけのものに成り果ててしまうだろう」と切り返したのも記憶に新しい。
いずれにしても、こうした物議はレイジを表現へと駆り立てるきっかけになったのかもしれないとローリング・ストーンズ誌はザックのこんな発言も紹介している。
「ぼくがこのバンドにいるのはそのためなんだ。この国や世界中のさまざまな闘争の主張を伝えるための場と声を提供するためなんだよ」。