M.I.A.を発掘したことで知られ、プロデューサーとしてはM.I.A.の新作『MAYA』にも参加しているディプロだが、『MAYA』リリース直前に起きたM.I.A.とニューヨーク・タイムズ紙のジャーナリストとの一悶着について触れて、M.I.A.はその政治性よりもアーティストとしてきちんと受け止められるべきだと語っている。
ピッチフォークとのロング・インタビューに応えたディプロは特にこの問題についてこう語っている。「M.I.A.が今度の新作を作ってる時、俺はもう政治とは距離を置いておいた方がいいよって話してたんだよ。きっとああいうことが起きるんじゃないかってずっと思ってたんだよね。だから、『きみの音楽はきみの政治なんかより全然いいものなんだし、真にショッキングなものを作れば評判もなにもかも全部ついてくるものなんだ』って言ってたんだけどね。M.I.A.がやってることがあれだけすごいのは別に謎でもなんでもないんだよ」。
また、ニューヨーク・タイムズ紙の記事にはディプロの発言も相当登場して話題になったが、自分の発言の使われ方については特に問題はなかったと語っている。「確か記事のなかで俺はM.I.A.がいろんなアイディアをひとつの形に持ってくるのがすごくうまいって話してて、実際にそうなんだよ。とにかく、M.I.A.のレコードっていうのは完璧にリスクを度外視してクレイジーなことをやっている音として伝わってくるんだよね。俺はあそこまでそんなことをやってのけてみせる人に会ったこともないし、ほかでそんな仕事を一緒にやったこともないんだよね」。
また、ニューヨーク・タイムズ紙の記事でM.I.A.の政治性の矛盾などが指摘されていたことについてどう思うかと問われて、ディプロはこう答えている。「M.I.A.の政治性なんて俺にはどうでもいいことでさ。っていうか、俺はM.I.A.の政治的なところは全部知ってるし。彼女の家族のことも全部知ってるんだよ。俺は全部知ってるわけ。で、俺以外の誰もそこまではわかっちゃいないんだよ。でも、そんなことは全然俺にとっては興味の対象にはならないんだよ。俺にとっておもしろいのは、M.I.A.がレコードで実際に試みていることで、彼女がアーティストとしてどれだけ異形な存在なのかってことなんだ」。