トム・ウェイツやシンプソンズの作者マット・グレイニングがキャプテン・ビーフハートを悼む

1969年作 『トラウト・マスク・レプリカ』

12月17日に多発性硬化症による合併症で亡くなったキャプテン・ビーフハートに向けて、トム・ウェイツや、アニメ『シンプソンズ』の生みの親であるマット・グレイニングらが追悼の意を表している。

本名をドン・ヴァン・ヴリートといったキャプテン・ビーフハートについてトム・ウェイツはロスアンジェルス・タイムス紙でマイルス・デイヴィスやサン・ラを引き合いに出して称えてみせている。

「開拓時代の幌馬車部隊の水先案内人のような人物だった」とトムは語っている。「先頭を切って出て、進むべき道を指し示す、そういう存在だったんだよ。バンド・リーダーとしては非常にハードルの高い人物で、抽象的で難解な作曲家でもあり、オーネット・コールマン、サン・ラやマイルス・デイヴィスと肩を並べる巨匠だったね」。

その一方で、マット・グレイニングもキャプテン・ビーフハートの大ファンとして知られていて、オール・トゥモローズ・パーティーズの03年のアメリカ版のキュレーターを務めた際には、当時再結成していたキャプテン・ビーフハートのバック・バンド、ザ・マジック・バンドをオール・トゥモローズ・パーティーズに呼んでいる。

「若かった頃、友達と一緒にポップ・ミュージックにおける極限とはどの辺かなっていろいろ聴き漁ってたんだよね」とマットは説明する。「みんなアヴァンギャルド・ジャズが大好きで、あとブルースも大好きだったんだよね。キャプテン・ビーフハートはそのどちらをも誰もやっていない形で融合させることに成功したんだよ。クレイジーでとんがったサウンドにあのボーカルワークを乗っけていくっていうね」。

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