稀代の反逆ミュージシャン、キャプテン・ビーフハートが他界

稀代の反逆ミュージシャン、キャプテン・ビーフハートが他界 - 1969年作 『トラウト・マスク・レプリカ』1969年作 『トラウト・マスク・レプリカ』

フランク・ザッパと並んで実験的でラディカルなロック・アプローチを試み、特にポスト・パンク期のミュージシャンに大きな影響をもたらしたキャプテン・ビーフハートが12月17日に亡くなった。享年69歳。

実生活ではドン・ヴァン・ヴリートと名乗っていたキャプテン・ビーフハートは82年に音楽活動を引退してからドン・ヴァン・ヴリートというヴィジュアル・アーティストとして活動を続けてもいた。ドンの死は、ドンの作品を扱っていたニューヨークのマイケル・ワーナー・ギャラリーを通して発表され、カリフォルニアの病院で息を引き取ったことが明らかにされた。死因は多発性硬化症によって引き起こされた合併症だった。

ミュージシャンのキャプテン・ビーフハートとしては流動的なメンバーで構成されるザ・マジック・バンドを率いて活動し、フランク・ザッパによってプロデュースされた69年の『トラウト・マスク・レプリカ』が広く傑作として認められている。67年の『セイフ・アズ・ミルク』以来、キャプテン・ビーフハートとして12枚作品を残したが、82年の『Milk for Crows』を最後に音楽活動から引退した。バンド・メンバーらの証言によれば、70年代からすでに多発性硬化症の症状は顕れていたという。

その死に対してフランツ・フェルディナンド、クラクソンズ、ズートンズらのメンバーが追悼の意を表している。シンガー・ソングライターのゾーラ・ジーザスはツイッターでこう偲んでいる。

「家を出ることになった時、わたしのすりきれた『トラウト・マスク・レプリカ』を兄に贈ったことがあって。それはまだこういうものを聴くには幼かったわたしにこういうものを紹介してくれてありがとうという意味だったのね。キャプテン・ビーフハートが音楽的にやったことで失敗はなにひとつとしてない。偶然の産物も実はまったくないのよね。それは純粋な発明であって、情熱だったわけで……どうして世の中からこうして重要な人たちばかりが失われていってしまうんだろう? その穴を誰か埋めるのだろうか? わたしの心が痛みます、ドン・ヴァン・ヴリート!」

一方、ビリー・ブラッグは自身のツイッターで「キャプテン・ビーフハートは唯一無二だった」と語り、フランツ・フェルディナンドのアレックス・カプラノスは自分たちがキャプテン・ビーフハートから「多大な影響を受けている」と追悼した。

クラクソンズのジェイミー・レイノルズは簡潔に「神の祝福を」と言葉を贈り、ズートンズのデイヴ・マッケイブは「世界中のファンが寂しく思うだろう」とツイートした。

(c) NME.COM / IPC Media 2010
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする