いよいよ8月31日に新作『アイム・ウィズ・ユー』がリリースされるレッド・ホット・チリ・ペッパーズだが、ドラムのチャド・スミスが新作とバンドの新体制をめぐってスピナーにその心境を快活に答えている。
プロデューサーのリック・ルービンについてはすでに20年来の付き合いにもなり、バンド内では新しいプロデューサーの起用についてもよく話し合うそうなのだが、結局、自分たちの楽曲をいつも一番いい形に持ってきてくれるリックにいつも力を借りることになるとチャドは語っている。しかも、そうしたリックの能力も年々と変化して向上しているので、自分たちには最もうってつけな共鳴板のような存在なのだとチャドは説明する。
ジョン・フルシアンテとジョシュ・クリングホッファーへというギターの交代劇については、ジョンが自身にとっての次のステージへと行きたがっていたからしようがなかったと説明し、恨みつらみなどはまったくない友好的な別れだったとチャドは語っている。その一方で、ジョンの友人でもあり、すでにチリ・ペッパーズの『ステイディアム・アーケイディアム』ツアーにも参加してもらっていたジョシュが参加したことで、ファミリーの一員である身内があらためて加わったという実感が伴うことになり、そこがとても大切だったとチャドは説明している。「自宅の裏庭に最適な人物がいたのをみつけられて本当に幸いだったよ」とチャドは語っている。
ただ、もちろんジョシュとジョンとでは相当に具合が違っていて、「それが俺たちにとって成長して変化していくための助けとなった」と語っている。「ジョシュは俺たちのサウンドを大きく変えたんだ。でも、それと同時にみんなも全員それぞれに変化してたんだよ。で、それがあれば、単純にいつもやってることが新鮮になるんだね」。
また、自分たちのかなり長いキャリアの持つ強味についてチャドはこう語る。
「よく人から言われるんだよね、なんで『母乳』や『ブラッド・シュガー・セックス・マジック』の頃のような作品をもっと書かないのかとか、そういうことをね。で、そういう人たちにとってはやっぱりその頃の作品が彼らのなにかを象徴しているものなんだと俺にもわかるんだよ。俺にだってそういうのあるからね。ある特定のバンドとかになるとさ、やっぱり最近やってるものより、ある時期の作品が好きだっていうさ。それはその音がある時間と場所に繋がってくるからで、それはちょっと感傷的な体験で、それはそれでいいことだし、人が俺たちの作品とそう接するのも全然構わないと思うよ。でも、そういうのを聴きたいんだったら、その頃の曲を実際に聴いてもらえばいいだけの話で、しかも、ライブになったら俺たちもそういう曲はたくさんやるわけだから」
「でも、新しい作品や音楽については、変化したいし、違うことをやりたいんだよ。そういう意味で俺たちの人生体験はすごく役立ってきたし、っていうのも、俺たちは自分たちの音楽や自分たちの書いている作品の内容についていつも正直に、しかもオープンにやってきたからなんだよ。それはやっぱり俺たちを通してにじみ出てくるものなんだ。それは俺たちの楽器演奏にもにじみ出てくるものなんだよ。で、そうやって今やってるものをみんなも気に入ってくれたなら、俺たちも嬉しいなっていうことなんだ」
なお、今回のアンソニー・キーディスの大ぶりな口髭についてチャドはバート・レイノルズのアクション・コメディ映画『キャノンボール』にでも触発されたのかなと語り、「でも、アンソニーも親父さんにそっくりになってきたよな」と説明する。「アンソニーの親父さんって昔はやっぱり口髭をたっぷり生やしててさ、イケてる親父さんだったんだよね。だから、なんか全部うまくめぐってるなってことなんだよ」。