ニック・ロウが語るウィルコとのジョイント・ツアーへの一抹の不安

ニック・ロウが語るウィルコとのジョイント・ツアーへの一抹の不安 - 2011年作『オールド・マジック』2011年作『オールド・マジック』

先月末に新作『オールド・マジック』をリリースし、来日公演も果たしたニック・ロウだが、秋にはウィルコと一緒にアメリカ・ツアーを回ることになるという。そこでスピナーがニックとのインタビューを行っていて、ウィルコとのツアーの抱負を聞き出しているのだが、その答がいかにもニックらしい。発言の最初のうちはウィルコのオーディエンスは明らかに自分より多いから、それだけのオーディエンスを相手にするのは大変だなあとしながらもなんとかやれると思うよと語っているのだが、ウィルコの面々がみんないい人だと聞けば聞くにつれ不安になってくるのだという。

「むしろぼくがもっと心配しているのはね、ウィルコと一緒ならそれはもう絶対に楽しいに違いないという話をみんながしてて、どんなにいいやつらなのかという話ばかりすることなんだよ。たとえば、きみね、『俺のダチがいてさ、ほんとおまえ、絶対にそいつのこと気に入るから!』って言われた経験ない? で、実際に会ってみたら、全然ウマが合わなかったみたいなさ」

また、今ではすっかり渋いロック通人として知られるニックだが、1976年にリリースされた史上初のパンク・ロック・シングルといわれるザ・ダムドの“ニュー・ローズ”をプロデュースしたのもニックで、当時、自分がこれほど歴史的な瞬間に立ち会っていると思っていたかと訊かれて、「いや、全然」と答えている。

「『おっ、これはいいね、こんなことは誰もこれまでやったことないよ』とは思ったよ。でもね、なんかを最初にやっちゃう人っていうのはね、たいがいそれがうまくいくなんてさっぱり思っちゃいないんだよ。これでなんか火が点いたとしたら、それって出来すぎだろって、それくらいにしか考えてないものなんだよね。自分がなにに関わったとしてもだよ、とりあえず、『俺にもこれはチャンスがあるな』って実感できるのは、5番手とか6番手くらいの連中なんだよ。最初のやつじゃね、絶対にうまくいきっこないとしか思ってないって」

そして、プロデュースについてはもはや他人を手がけるつもりはまったくないとも語っている。それは今では自分の活動で精一杯だということと、自分の手法としては実際のミュージシャンを雇い、かなり高くつくスタジオしか使わないので、今ではもうそんな予算は出ない時代になったとニックは説明している。

ちなみに名曲ライターとしても知られるニックだが、自分が敬愛するコンテンポラリーなソングライターはボブ・ディラン、ランディ・ニューマン、そしてロン・セクスミスだとか。
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