トム・ヨーク、アトムス・フォー・ピースのアルバムについて語る

トム・ヨーク、アトムス・フォー・ピースのアルバムについて語る

レディオヘッドのトム・ヨークのソロ・プロジェクト、アトムス・フォー・ピースがファースト・アルバム『ATOK』を来年の1月にリリースすることが先頃伝えられたが、トムやレディオヘッドのプロデューサーとしても知られるナイジェル・ゴドリッチらが『ローリング・ストーン』誌にこのアルバムについて語っている。

元々アトムス・フォー・ピースはトムの2006年のソロ・アルバム『ジ・イレイザー』を2010年にツアーする際に召集したユニットで、ナイジェルのほか、ドラムのジョーイ・ワロンカー、レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリー、パーカッションのマウロ・レフォスコというメンバーからなっている。

この10年のアメリカ・ツアーが終わった時点で、トムはすぐにロサンジェルスでスタジオをブッキングし、3日間のレコーディングを敢行。この時の音源とさらにトムが新しく作った音源を編集していく作業をトムとナイジェルは2年かけて行い、ようやく今回のアルバムが完成したという。

こうした音源の成り立ちを踏まえてナイジェルは「これまで試みられたことがないような作品なんだ。発想としては普段やってきたことの逆を行っていて、未知の領域に踏み込んでいるものなんだ」と語っている一方で、トムはアルバムについて次のように説明している。

「このアルバムが出来上がって、一番刺激に感じるのは、どこからが人間的な要素で、機械の要素がどこで終わっているのか、その境目がわからないところなんだよ」

ただ、ロサンジェルスでスタジオに入った時点で曲のベースになるものはまったくなかったとトムは語っていて、終わってみたら音源が山ほど出来上がっていたと振り返っている。

「ある種の狂気のような感じだったね。昼頃スタジオに入ったら、大体10時まで作業は続く感じで。ずっと演奏しっぱなしなんだよ。もうとんでもなかったよ。ちょっと作業を止めて、ビートを変えることにすると、ジョーイとマウロが訳のわからない譜面を書き始めて、そうやってまたビートを作り出して、するとそのまままた1時間は演奏が続くんだ」

さらにフリーなど、プレイヤーとして圧倒的な技量を持つこのバンドとどう接したのかという問いにトムは次のように答えている。

「間違いなく指揮者として接するんだよ。だから、ナイジェルとぼくとで『それいい! それよくない!』って言ってるわけ(笑)。つまり、面白いグルーヴをどうやって捉えるかっていう話だったんだ。そもそもぼくたちが初めてみんなで顔を合わせたのはフリーの家だったんだ。全員でへべれけになって、ビリヤードをやって、一晩中フェラ・クティをかけまくったんだよ。そういうトランス状態に入ることがこのユニットのひとつのアイディアだったわけ。だけど、このアルバムにはちゃんとした曲も揃っているということなんだ」

なお、11月19日にアナログ盤12インチ・シングルとしてリリースされる"Default"については、元々『ジ・イレイザー』用に作った音源がもとになっていて、そもそもがサンプラーへの入力を間違えてできてしまった音源だったとトムは説明している。それをバンドに提示してみたところ、かなり変拍子なども入った複雑な作りだったのにバンドはすぐに演奏できるようになったとトムは振り返っている。「ただ、機械で作った音ほどタイトな感じにはなってないんだ。ライヴでしっかりやれるようになったら、脳味噌ぶっとびになるような、そんな曲なんだよ」

元々ラップトップで作りあげた『ジ・イレイザー』の音をライヴ・バンドに移し替えるという作業から始まったアトムス・フォー・ピースだが、ツアーやライヴもまたやりたいとトムは語っている。ただ、そうなるとまたしても編集作業で作りあげた今度の新作の内容を一からバンドと学習し直すことになるともトムは説明している。

「イカレてるよね! ぼくもずっと『ここはちょっと人間臭いなあ。もうちょっと機械っぽくならないかなあ』などと、そんなことばかり考えてるからね。そして、こう言いたい誘惑をいつもぐっとこらえてるんだよ。『これはなにかの始まりだな』ってね」

なお、ナイジェルは今回のプロジェクトについては次のように説明している。「トムは永遠の葛藤を抱えているんだよ。『ぼくは本当にダンス・レコードを作ってみたいんだ。でも、ぼくが歌っていなければ誰もきっとまともに聴いてくれないだろう』っていうね。この作品はね、そんなトムの妥協の産物なんだよ」。

ただ、これにトムは反論していて、自分が好きなダンス・トラックには必ずヴォーカルを使ったいいアイディアがひとつは入っているとしていて、「ヴォーカルなしにいい曲になるなどということはありえないよ」と語っている。
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