元HMVの従業員、レコード店HVMを開店。しかし、HMVからクレームで店名を変更することに

元HMVの従業員、レコード店HVMを開店。しかし、HMVからクレームで店名を変更することに

元HMVの社員で先週自身のレコード店HVMを開店した人物がHMVから法的措置に訴えるという圧力を受けて、店名をWAHに変えることになったという。

HVMを立ち上げたのは北アイルランドのデリーのトニー・クリーガンで、トニーはデリーのリッチモンドセンターにあったHMVで10年以上勤務を続けていたが、昨年経営不振の影響を受けてこの店舗が閉鎖に追い込まれ、トニーは職を失った。しかし、トニーが務めていたHMVは常に黒字を出していて、1万5千人もの署名による閉店を見直す請願書も作られたが、最終的に自分でレコード店を経営することにしたとトニーはエンタメ・ニュース・サイトのエンタテイメント・ieに語っている。

「(こんなに一所懸命にやってきて)結局、新店舗に『ローカルCD』などと命名することになっても意味ないなと思って。それだったらもう、最初から自分でやってHVMと名付けるのがいいやと思ったんです。どっちみちもうHMVに帰ってくるつもりはないんだから」

HMVはその後今年の1月に経営が破綻し、現在、企業再建を専門とするヒルコ社のもとで経営再建に励んでいるが、自身のレコード店HVMの開店から1週間してトニーは紛らわしい店名を使うことによってHMVへの営業妨害を働いているとしてHMVからクレームを受け、HMVの法務顧問を担っている法律事務所からかなり高圧的な内容の書簡を受け取ったという。HMVは現在もイギリスとアイルランドで経営を続けていて、トニーの店は「依頼人(HMV)の評判と善意を損なうものになっている」とその書簡は警告を発していたとか。

トニーはどう対応したらいいものかと、訛りの強い知人と話し込んでいる時に偶然、対策を閃いたと次のように語っている。

「店で事の経緯を話し込んでいたら、話を聞いていた男の子がHMVを聞き取れなくて『HM what? (HMなんだって?)』って訊き返してきたんですよ。そこでHMVをまず逆さまにHWAにしてさらに綴りを入れ替えてWAHにすることにしたんです」

なお、新しい看板には小さな吹き出しがついていて、HMVの「His Master’s Voice」にちなんで「彼の主人の声が変えろと言いました」という文句が書き込まれているという。

今後、トニーはHMVとの対決も辞さないとしていて、今回の騒動で地元の住民も店を支援して集会まで開いてくれたと語っている。
「法律事務所からの手紙では連中はうちがHMVの色を無断で使っていると言っているんです。つまり、ピンクと黒はHMVの色だというんですね。地元のみなさんは、だったらHMVはアルファベットも虹の色も権利として持っているのかと憤っています。本当に著作権として持ってるのかって。ダビデとゴリアテの戦いのようですが、みなさんから負けちゃだめだと励ましをいただいています」

(c) NME.COM / IPC Media 2013
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