10月27日に他界したルー・リードだが、他界するほぼ1か月前にニューヨークで行っていたラスト・インタヴューが公開されている。
インタヴューはフランスのオーディオ・メーカー、パロット社の上級ヘッドホン・シリーズ、パロット・ジークについて行われたもので、ルーはロック向きなサウンド実現のためパロット社に対してこのヘッドホンの音質調整の助言を提供していたという。
インタヴューはフランスの女優のファリダ・ケルファが行っていて、なぜ音楽に携わることになったのかという問いに、ルーは「大好きだからだよ。大好きなことをやらなきゃだめなんだよ……じゃないと逮捕されるのが関の山さ」と答えている。ギターは9歳の時に弾き始めたと説明し、父親にギターを与えられたのかと問われると「父親にはクソひとつさえ貰ってない」と答え、「安いギターを買ったんだ」と説明し、そのお金は「森で材木の伐採を手伝ったり、農場で鶏の面倒をみたりして稼いだ」と語っている。
ギターについては毎日弾くのかという問いに「毎日は弾かないよ。練習もしないんだ。(音楽の)学校も行ったことない。俺は心から弾いてるだけなんだ」と答えている。さらに、それは時々気がついたらギターを手に取って弾くということなのかと訊かれ、ルーは「そうだよ。ていうか、そもそも俺はギターと一緒に寝るんだよ。それと俺のアンプとね」とルー特有のユーモアを披露している。
さらにヘッドホンの音質調整の話から発展して自分にとってのサウンドについてルーは次のように語っている。
「俺にはどう音に鳴ってほしいのかよくわかるんだよ。たとえば、美しい低音部や美しいチェロやチューバのないベートーヴェンなんて聴きたくないんだ。そこがすごく重要なことなんだよ。ヒップホップには爆音のようなベースがつきものだよね。それはベートーヴェンも同じなんだ。低音部がなくなったら、切断されちゃったようなものになっちゃうよ。足がなくなっちゃったようなね」
また、ルーはCDの音は「恐ろしい」と語っていて、また「現在のテクノロジーの恩恵を被るためにも、自分のこれまでの作品をすべて新しくリマスタリングした」とも明かしていて、その手応えを次のように語っている。
「あまりにも美しい音に仕上がって俺は泣いてしまったんだ。俺はサウンドというものにはとても感情的に反応するんだ。サウンドというのは説明不可能なものだよ。たとえば、自分の頭の中で聴こえる音もあるんだよね。それは自分の神経だったり、血の流れだったりする。そういうものが聴けるということがね、驚異的なことだと思うな」
そしてルーにとって最初のサウンドの記憶というものはどういうものになるかと問われると、ルーは、それはみんなが共有している記憶だと次のように語っている。
「音の一番最初の記憶といったら、それは俺たち全員にとって、自分の母親の心臓の音だと言わざるをえないよ。豆粒みたいな存在でしかない時から俺たちはそのリズムを聴きながら育っていくんだから。だから、俺たちは脈打つ音が好きなんだよ。それだけ簡単なことなんだよ。
その一方で、自然の音もあるよね……ふぅーっという風の音。愛の音もね。ふぅーっという」
ルーのラスト・インタヴューの抜粋動画はこちらから。
http://www.rollingstone.com/music/videos/lou-reeds-last-words-watch-his-final-interview-20131108