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 NUMBER GIRL時代から約10年もの間、向井秀徳と活動をともにしてきた唯一のメンバー、アヒト・イナザワのラストステージが近づく。ライヴ開始10分前にして広大なフロアがほぼ埋まっているという異常事態。皆その姿を一瞬でも多く焼き付けようとステージを見つめている。「アヒト-!!」という叫び声のバックでROSSOの“1000のタンバリン”がSEで流れる。ROSSOもまた劇的なメンバーチェンジを経て凄まじい音源を発表したが、ZAZENも今日を最後に、新章へ突入する。すでに熱いものがこみ上げてくる。
 大歓声の中、坊主に近い髪型になった向井含め4人が登場。いきなり“CRAZY DAYS CRAZY FEELING”!「幕張―!! 時には女とまぐわり―!!」という向井の絶叫が響く。鋼鉄の塊と塊がビキビキにぶつかってこの世の化けの皮を剥がしていく――ZAZEN BOYSの壮絶なライヴの幕開けだ。
 向井の歌はもはや音程云々ではなく、すべてを振り絞るように鬼気迫っていた。バンドのアンサンブル、そしてコーラスもしかり。全員が互いに敬意を表するように、タガを外し、尋常ではない爆発的なカオスを形成していた。“COLD BEAT”のドラムソロで、向井はアヒトに向かって、何度も腕を突き上げ、煽った。アヒトも己を燃やすようなビートをたたき出して応える。「ドラムス、アピート・イナザワンテ!!」。このセリフがもう聞けないかと思うと、どうしようもない気持ちになるが、ZAZEN第一章は伝説的なパフォーマンスをもって幕を閉じた。まずはそれを目撃できたことをまっすぐに受け止めたい。(小松香里)

1 CRAZY DAY CRAZY FEELING
2 安眠棒
3 MABOROSHI IN MY BLOOD
4 IKASAMA LOVE
5 COLD BEAT
6 開戦前夜
7 自問自答
8 半透明少女関係