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 青のライトが灯る暗闇に、柔らかいアコギとちょっと神経質なサンプリングの音色が溶け出していく。グレイプバインのステージはゆったりと、そんな“作家の顛末”によってスタートした。が、そこに乱暴なハイハットが割って入り、いきなりの“スロウ”。タイトに厳しく訴えかけていくその音に、ぎっしり埋まったEARTHのオーディエンスは早くも完全に引き込まれてる。  とにかく、今日の彼らはのっけからテンションの上昇率が格段に高い。続く“豚の皿”なんてもう最高! 田中の猛ったヴォーカルとメタリックなギターノイズが精緻なサンプリングを傍若無人に引っ掻き回し、どんどんこの場を自由にしていくのだ。「みんな仕事納めしてきたかーっ! わしらは今日で仕事納めや! 悔いのないようやりたいと思います」。そんなMCと呼応するかのように、中盤戦はキーボード連打の“Suffer the Child”、ストーンズのカバー“Fingerprint File”と、さらにトライバルに、ファンキーに彼らは突き進んでいく。
 一転、“BREAKTHROUGH”はそれまでの流れをリセットする疾走感漲る泣きメロだ。切ない風がフロアに吹き下りて、あちこちで渦が生まれていた。あらゆる曲調を、あらゆる感情を行き来しながら、グレイプバインは虹色のロック桃源郷を生み出してくれた。クライマックスはラス前の“ミスフライハイ”。「ガチンコ」とはまさにこのことだろう。音が、光が、オーディエンスの歓喜が一気にスパーク! 暗闇から始まったステージは、眩しいほどの興奮と共に最新曲“Everyman,everywhere”で幕を閉じた。(粉川しの)



1 作家の顛末
2 スロウ
3 豚の皿
4 Suffer the child
5 Fingerprint file
6 BREAKTHROUGH
7 アンチ・ハレルヤ
8 ミスフライハイ
9 Everyman,everywhere