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COUNTDOWN JAPANには初開催から6回連続で出演となるGRAPEVINE。いまや押しも押されぬベテラン・バンドの彼らだが、いまだにライヴを観るたびにヒリヒリした気分になる。音に身を削られるような、切羽詰まった緊張感とでもいえばいいか。GRAPEVINEの描く世界観は決して底抜けに明るいものではない。だからそれを受け止める観客も神妙に、というかある種の覚悟をもって向き合わなければならず、それはフェスのムードからすれば結構難しいトライアルだ(やるほうも聴くほうも)。田中もMCで「真昼間からディープ(な音楽)ですけれども、しっかり付いてきてください」なんて話していたけれども、しかし、じつはGRAPEVINEはフェスでこそ輝くバンドでもある。そんなバンドなのに、毎回フェスに出て毎回こんなにたくさんの客を集めてしまうといういびつな立ち位置はいまもって異質だが、当の本人たちはそれを楽しんでいるようにも見えるし、彼らは、どんなに重く暗い楽曲でも最後にはしっかりと光を見せてくれる。その瞬間を万単位で共有するというのは、やっぱりフェスならではの体験で、たとえるならそれは「奇跡」に近いものなのだ。というわけで今後とも、よろしくお願いします。(小川智宏)