「もはや僕は人間じゃない~」。SEとして流れていた森山直太朗の“生きとし生けるものへ”の妙なテンションに覆われたEARTH STAGEで、いきなり骨太なギター・リフが炸裂。斉藤和義の登場だ! しかも初っ端からいきなり“歩いて帰ろう”! ハーメルンの笛吹きに誘導される子供たちのように、そのあまりにも有名なギター・フレーズに引きつられてEARTHにお客さんがわんさかと集まってくる。全員が全員、歌いながら駆け付けてくるのがなんとも印象的だった。
斉藤和義のセットは至ってシンプル。バンド編成も必要最小限の3ピースだし(ドラムはもっくんこと森信行!)、コード進行も実にオーソドックスだし、ライトハンド奏法や「おちんちん」(“彼女はいった”の盛り上がりに挿入)といった飛び道具がちょろっと出るとはいえ、むしろギミックがないことが、彼のギミックだったりする。それを象徴するのが、セット中盤に演奏された代表曲の“歌うたいのバラッド”。ずっしりくるその深遠なグルーヴは若手バンドの一発燃焼とは決定的に違い、まるで炭火のようにじっくりとオーディエンスを熱してくれる。会場はいつの間にかアダルトなムードに包まれていた。
いい曲、いい演奏、そしてその根本に迸る普遍的なロックンロール魂のみで勝負に挑んだ斉藤和義の“良質ロック”。特に若手が大半を占める初日のラインアップには、彼のコシの入ったグルーヴは絶妙の塩梅になるだろう。何気に着てた砂漠ロック・バンドのキャレクシコのTシャツを含め本当にカッコよかった。(内田亮)
1 歩いて帰ろう
2 手をつなげば
3 COLD TUBE
4 真夜中のプール
5 ドライブ
6 歌うたいのバラッド
7 彼女は言った
8 アゲハ
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