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TRICERATOPSのライヴには、3ピース・バンドの美点がぎゅっと凝縮されている。少人数ゆえの一人一人の役割のデカさと、だからこそプレイヤビリティに限界設定不要な自由度。しかも一旦「集合!」と目と目で合図さえすれば、瞬く間にギッチギチにタイトな一本のうねりに変容していく、その即効性。3ピースの美点とは即ち、ロックンロールの美点である。彼らのライヴは、そんなロックンロールの原点をいつも思い出させてくれる。「踊ってる? 後ろ見える? ロックで楽しもうよ。最後まで踊ってってね? OK?」。そんな和田のいたってシンプルなMCに促されるように、中盤は“GOING TO THE MOON”、“ロケットに乗って”そしてデビュー・シングル“Raspberry”と、ダンス・ロック・アンセムの3連打で瞬く間に場内はヒートアップ。数千の手が虚空に揺れ、客席とステージが直流で繋がっているかのようなコール&レスポンスがびしばし決まっていく。そして、思いっきり場が温まったところに投下された“ROCK MUSIC”は、途中の鬼気迫るインプロ合戦を頂点にした今日の文句なしのクライマックスとなった。(粉川しの)