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ツインドラムにツインギター、拡声器まで持ち出すキワモノのようなインパクトで登場しながら、グランジめいた破壊力とロック・アーティスト然とした色気を武器に、気付けば2000年代ロックシーンの中核にいる男たち、髭(HiGE)。今年は夏のFESでもセットによじ登り、客席を煽りまくる暴れっぷりを見せてくれた彼らが、幕張にも堂々の出現である。特にギミックなしの静かなイントロから始まった1曲目は、今年の新アルバム『Chaos in Apple』からの“寄生虫×ベイビー×ゴー!”。へヴィなリフが牽引する正統派ロックナンバーで徐々に盛り上げていく流れ?……と思いきや、“黒にそめろ”“溺れる猿”で一気にカオスなパーティーが加速する。だが、フロアいっぱいに突き上げられる拳を見つめる須藤寿(G & Vo)は、いつになく素直で優しい。「大好きだよ」と何度も言ったメッセージがまっすぐに届いていくような雰囲気の中、“ダーティーな世界(Put your head)”で踊らせてラストは“電波にのって”。轟音の渦に溶けていたあの瞬間の感情は、間違いなく「愛」だったはずだ。(松村耕太朗)