メニュー




30日のMOON STAGE、トリとして登場してくれたのは音速ラインだ。10月のアルバムリリースに続いて、年明けにはベストアルバムも発売決定、まさに充実の活動ぶりを見せる彼らを待ち受ける手拍子の中にメンバー全員が登場すると、さらりと鳴らされた1曲目は“Our Song”。「僕らのうた」とでも訳すべきこの曲でライヴが始まるのは、まさに親近感あふれるこのバンドの、聴き手との距離を象徴するような立ち上がりだ。しかし、続く“旅ガラス”のアップテンポさで会場を一気にロック・モードに塗り替えると、“疾風のように”“ロレッタ”と攻撃的なナンバーを矢継ぎ早に繰り出していく。その後MCを挟むと、転調するリズムと歌謡曲っぽい歌メロが楽しく絡み合う“恋の魔法”、ファルセットで悲しい恋心を歌いあげるバラード“逢瀬川”など、彼らの魅力の別の側面を次々に見せてくれる。名曲“逢いたい”で大合唱を巻き起こしていったん去ると、アンコール曲は“街風”と“みずいろの街”。とにかく心に響く郷愁のメロディと、それをがっちり支える熱い演奏のアンサンブルが巻き起こす、彼らだけの素敵な魔法。その効果は、会場に残るうっとりとした陶酔が証明していた。(松村耕太朗)