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無敵のエンタテインメント! そして感動のフィナーレ!! 
ありがとう、リップ・スライム!!! 19:00 グラス・ステージ

8/3 22:00 UP
場内は日が暮れて涼しくなってきました。いよいよ、ロック・イン・ジャパン・フェスもこれがラスト・ステージ。3日間、いろんな喜びとサプライズと感動が駆け抜けていったことだと思います。けれど、これで本当にラストです。そして、3日間の大トリをつとめるのはリップ・スライム!
そう、思えば、リップ・スライムほどこのフェスと共に急成長していったアーティストはいないだろう。シュガー・ソウルのピンチヒッターとして急遽出演した一昨年。そこからあれよあれよという間に大ブレイク、とんでもない勢いでポップ・マーケットを制圧した状況と共に初日のトリをつとめた去年。そして今年はニュー・アルバム『TIME TO GO』を引っ下げ、ヒップホップ初の歴史的5万人野外ライヴを大成功させたという、押しも押されぬナンバーワン・アーティストとしての凱旋公演だ。
開演前からフィールド前方は期待と興奮でもう沸騰寸前になっている。そして、お馴染みのアニメ・キャラを配した映像とSEに導かれてRYO-Z、PES、ILMARI、SU、FUMIYAの4MC+1DJが登場! スタンディング・ゾーンのずっと向こうまで総立ちのフィールドが歓声に揺れる。最早恒例となったSUさんの胸の名札には、今年は「鹿野祭」の文字。そしてつなぎの背中は「鳳」と大書してある。大トリ、のことね(笑)。そんな遊び心も垣間見せつつ、1曲目“HOTTER THAN JULY”から涼しい夕暮れの空気を一気に熱狂の渦にスパークさせ、盛り上がりは一気に最高潮。“TOKYO CLASSIC”では「ひたちなかより愛を込めて!」、「ここひたちなかから発信!」というこのフェス限定のスペシャル・リリックで会場を沸かす。そして続くは“雑念エンタテインメント”。 FUMIYAの繰り出すビートはさらに鋭いアタックと柔軟性を増している。MC4人の流れるようなフロウも、絶妙なかけあいも、さらに華やかになっている。勿論、彼ららしいコミカルなユーモアも決して忘れない。もともとリップは「ヒップホップとして~」とか「音楽として~」といったレベルを軽く飛び越えて、エンタテインメントとしてとんでもなく高性能なステージを見せていた人達である。でも一昨年よりも、昨年よりも、さらに洗練されて隙がなくレベル・アップしているのだ。一体、この人たちはどこまで到達しようというのだろう? 最早「化け物」と言っても過言のないエンターテインメントシップの塊である。
カラフルなトラックから一転、ドープなヒップホップのリズムに乗って、その名の通り基本線に立ち帰った時のリップの底力をまざまざと見せつけた“ベイシック・ライン”。「まだまだ手を下げさせないぜ!」と煽ったかと思うと、曲中ではダンスも披露した“FUNKASTIC”。ほんとにめまぐるしい、一瞬たりとも目を離すことのできないステージ。そして、「お前ら、超サイコー!」と叫んだPES、そして「去年はうかつにもサッカーとかやりまくってグダグダになってしまい、力が発揮できなかった。だから今年はバンバン飛ばしてくから! 3日間で一番暑いけど、暑いなんて言わせん! 最終日だから疲れたなんて一切言わせん! バンバン上げてくからね!」と語ったRYO-ZのMCに続いては、BPMを落としてちょっとクール・ダウンの“ミニッツメイド”。そして「さあ、ここが本当の楽園だ~!」の掛け声と共に夜中のひたちなかをビーチ・バカンスに一転させた“楽園ベイベー”。そして“STEPPER’S DELIGHT”! 飛び跳ねてやまないフィールドも、ノンストップで次々とフロウを繰り出す4MCも、どんどん加熱していく。4人+3万人が踊り飛び跳ねるステップはかなり壮観のものだった。羽根の生えたビートと祝福に満ちたムードは、まるで履いているスニーカーが地上から数cm浮いてるかのような錯覚すら感じさせてくれる。そして、“チェッカー・フラッグ”“JOINT”! なんと、ここまでずっとノンストップなのだ。単純に考えて、たった1回のMCを挟んだだけの11曲の間にどれだけの言葉が放たれたことだろう。それだけでもとんでもないことなのに、アドリブなのかキメなのか、4MCはリリックの合間にどんどん小ネタを挟んでくる。うずくまったSUさんにPESが後ろから襲いかかったり(犬の交尾?)、倒れこんだILMARIに3人が駆け寄ったり。FUMIYAも隙あらばスクラッチをキメて盛り上げる。もう、ほんと何でもありの完璧のステージ、無敵のエンタテインメントだった!
そして、その祝福と喜びと笑いのムードに満ちた会場の雰囲気が一転したのは、続いてのRYO-ZのMC。「この3日間、長丁場おつかれさまでした」とフィールドを埋め尽くす観衆に向かって呼びかけた後、「でも、おつかれさまを言いたい人が他にもいます。B-DASH、ゴーイング・アンダーグラウンド、ヘルマンH.アンド・ザ・ペースメーカーズ、銀杏BOYZ…………バンプ・オブ・チキン、平井堅、岡村靖幸、そしてリップ・スライム。敬称略!」とこの3日間に出演した全アーティストの名前を一つ一つ読み上げたのだ。客席もひとつひとつの名前に、拍手の嵐。もう、RYO-Zの目は真っ赤だ。顔には涙の筋が泣かれている。PESに「泣くな、泣くなよ!」なんてツッコミをいれられている。でも、メンバー全員、よく見たら目が真っ赤にうるんでいる。思わずあたりを見回したら、目に映ったみんなが涙を流していた。ここに集った一人一人が、この3日間の思い出を噛み締めていたんだろう。本当に、感動的な瞬間だった。そして、「次でラストです!」のMCに続いて“TIME TO GO”。ここでこの曲は、もう反則と言ってもいいだろう。ピアノの優しくメロウなフレーズ、そして4人で声を合わせてのサビに、否応なしにグッとくる。リップ・スライムが、こんなに真っ直ぐに感傷的な姿を見せてくれるなんて、正直思っていなかった。
メンバーがステージを去っていった後も、場内が割れんばかりの拍手とコール。RS5のいつものテーマに乗っかって再びステージに戻ってきたメンバーには、ん? 6人いる? そう、口ドラムを披露するスペシャル・ゲストKEIが加わってのアンコールは“WHAT’S UP?~HOW ARE YOU DOIN’?”。これがビックリするくらいのスゴ技! キック・スネアは勿論、ハイハット、スクラッチも完璧に再現する口ドラムで、感傷に染まったグラス・ステージを再びアッパーに盛り上げる。そして最後の最後は“マタ逢ウ日マデ”。なんて出来過ぎの選曲! 祝祭が終わっていく切なさと、明日からも続いていく日々へのエールを込めて、「さあ、鐘を鳴らせ!」の大合唱!! さらには4人がステージを降りて最前列のお客さん1人1人にかけよってく大興奮のパフォーマンス! 「♪億千万の胸騒ぎ~」(ロック・イン!)「♪ジャパーン!」と、郷ひろみをパロった彼ら一流のユーモア溢れるコール・アンド・レスポンス、そして「さようなら、またあうひまで」というメッセージで締めた彼ら。メンバーがステージを去っても、花火が打ちあがっても、みんな立ち尽くしたままだ。
本当に、感動的なフィナーレだった。ありがとう、リップ・スライム。そして3日間のフェスを作り上げ、目一杯楽しんでくれた参加者の皆さん、本当にお疲れさまでした! ありがとう!!(柴那典)