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14:10、レイク・ステージ上空には雲ひとつない青空。湖からの風が心地よい。前アクトのクラムボンのライヴがとても涼しげだったこともあり、レイク・ステージ前には今、最高のフェス空間が広がっている。ロック・イン・ジャパン初登場のバンドを迎え入れるには最適な環境だろう。スタンディングゾーンはほぼ満員。みんなこのバンドの鮮やかな初登場劇を期待しているのだ。
そして14:18、拳を高らかに突き上げホリエ、ナカヤマ、日向、現在最強アンサンブルの一つと謳われる3人がついに舞台に上がった。すでに堂々たる雰囲気を漂わせている。いよいよ始まる。ホリエがリバーブの深くかかったコードを掻き鳴らしたとき、さっきまでゆるやかに流れていた会場の空気が一瞬にして張り詰めた。そして、その直後、風景を裏返したように一気にレイク・ステージを満たす大歓声と幸福感。アンダーワールドの“born slippy”だ! このあまりにも有名な楽曲が完全にストレイテナー流のロックンロール・ナンバーに生まれ変わっている。空気に切れ目を入れていくかのような切れ味鋭いサウンド。完全に一つの塊となった音が、脳天めがけて真っ直ぐに飛び込んでくる。登場するや否や一発で会場を盛り上げきった3人は次々と弾丸のようなロックンロール・ナンバーを繰り出してくる。一発一発的確にオーディエンスの意識を撃ち抜いていく様はさながら百戦錬磨のハンターのようだ。しかもこの3人が生み出すロックはただソリッドで衝撃的なだけではない。一度心に突き刺さったテナーのメロディは、体内で彼ら特有の哀愁を含んだ終末感を炸裂させる。この透徹された世界観、サウンド自体の強度、この両輪をフル回転させてストレイテナーは信じられないような速度で突き進んでいるのだ。重く、しかも凄まじいスピード感で突っ込んでくるサウンドを一身に受け続けているオーディエンスは半ば感覚を麻痺させ、身体を小刻みに揺らせている。3人を先頭に会場丸ごと全力疾走で駆け抜けてきたライヴは終盤、すでにアンセムと化している“ROCKSTEADY”、“TRAVELING GARGOYLE”の連射でクライマックスへ。ライヴ開演時の爽やかな雰囲気が嘘だったかのような熱気と怒号のような大歓声でストレイテナーのロック・イン・ジャパン初登場ステージはあまりにも鮮烈な印象を残して幕を下ろした。
「暑い。暑くて危ない。」ホリエはライヴ中盤、そう言った。「熱くて危ない」、ストレイテナーの本領が発揮されたそんなライヴだった。(小柳大輔)

1. born slippy
2. SPEEDGUN
3. POSTMODERN
4. A SONG RUNS THROUGH WORLD
5. REMINDER
6. MOTIONS
7. DON’T FOLLOW THE LIGHT
8. FREEZING
9. MAGIC WORDS
10. ROCKSTEADY
11. TRAVELING GARGOYLE