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「すっかりレイクの番人になっている気分」と田中(Vo)も笑っていたように、ここレイク・ステージで繰り広げた白熱のプレイの数々が思い起こされるグレイプバイン。今年は昼前の時間帯での登場となったことも関係しているのか、例年以上にリラックスした雰囲気の中で伸びやかな演奏を聞かせてくれた。1曲目“FLY”の過剰なドラマツルギーの焦点が瞬時に合った後はもはや貫禄すら漂わせる余裕の演奏。ジャジーでセクシーな“インダストリアル”が凄くハマる感じだ。かと思えば“豚の皿”では日没を強引に連れてきそうな勢いで混沌とヘヴィネスが渦巻き、穏やかな陽光とのあまりのミスマッチに笑ってしまいそうになった。

フェスのように開放的な空間で聴くと、グレイプバインの音楽のデカさはより鮮明に浮き彫りになっていくように感じる。肉厚でセクシーなグルーヴは存分に膨張して周りの景色を呑み込んでいくし、メロウネスは田中のヴォーカルと共にどこまでも青空に溶けていく。まさに伸縮自在、シンプルなR&Bを土台に広がってきた彼らの自由を象徴しているかのようだ。(粉川しの)