純粋であるがゆえに周囲とのリズムがズレてしまう少女・あみ子、彼女とその周囲をとりまく人々との人間模様を描いた映画『こちらあみ子』。7月19日発売のCUT8月号で、あみ子の父親・哲郎役として出演する井浦新さんへのインタビューを行いました。
演技初挑戦で主人公のあみ子を演じた大沢一菜さんへの井浦さんのまなざしを通して、若き日の俳優・井浦新をうかがい知ることができた今回のインタビュー。一部を抜粋してご紹介します。
彼女があみ子になっていくのではなく、あみ子が一菜になっていくというか……。もちろん、あみ子のセリフはちゃんと用意されたもので、だからこそすごいんです。もともと一菜は標準語だけど、広島の呉弁をしゃべり、音やセリフを覚えていかなければならない中で、あれだけ自由にやっている、セリフが自分の血肉になり、何にもとらわれずに好きなように発していくというのは、僕からすると理想的なお芝居のあり方です。
一菜を見て、俳優としてのスタートや成り立ちが自分に似ているなと思いました。僕は俳優をするつもりはなかったけれど、是枝裕和監督の存在のおかげで映画の世界に放り込まれて(笑)。俳優デビュー作では本当に何にもとらわれず、自由に感じたままに映画の世界を楽しむことができました。役として作り込んだものではなく、自分の中にあるものを、リミッターをはずして最大限に活かしていい役でのスタートでしたが、その姿を一菜がもう一度見せてくれたんです。
スクリーンの中で、井浦さんはどんなふうにあみ子との関係を作り出したのか。じっくり語ってくださったインタビューと、ナチュラルながら洗練された佇まいの写真をぜひお手にとってごらんください!(田中春香)
CUT8月号は現在以下にてご予約可能です。