最近観た映画でもっともインパクトがあったのがこれ。
ヤン・イクチェンという韓国の若き映画人が、自分の家を売り払って稼いだ製作費で、製作/監督/脚本/編集/主演した長編映画デビューの『息もできない』。
とにかく度肝を抜かすのが、最初の1時間が基本的に、そのヤン・イクチェンが演じる主人公のサンフンというチンピラが、ただひたすら色んな人をどついてる映像だけということ。
冒頭からいきなり女は殴るわ、無抵抗の学生は殴るわ、居合わせの悪かった女子高生は殴るわ、自分の父親は殴るわ……。
一応、ストーリーはありそうだし、実際にそこにはあらゆる伏線が隠されているんだけど、パッと見、ただ感情の起伏をまったくコントロールできないいけ好かないチンピラが、ブレブレの手持ちカメラで生々しく映し出されているだけなのだ。
だけど、この映画、とてつもない感動が待ち構えているである。
正直、あまりにもクリシェなクライマックスは読み易い。だけど、だからこそ逆にその演出、そしてその“アフター”の描写がめちゃくちゃ際立っているのだ。やられた。
本当に衝撃的だったし、観て数日経つのに、まだ自分の中でその内容を反芻している感じ。
ヤン・イクチェン、自分と同じ75年生まれ。恐るべし。
おすすめです。
執拗なバイオレンス描写にかかわらず、うちの女性部員もかなりはまってます。
ちなみに写真は本国韓国で使われた宣伝ポスター。こちらもかなりキてます。(内田亮)