ベック×ナイジェル×スコット・ピルグリム=最高のロック映画

ベック×ナイジェル×スコット・ピルグリム=最高のロック映画

4月29日についに日本公開されるエドガー・ライト監督の『スコット・ピルグリム
VS. 邪悪な元カレ軍団』。
この作品にはゲーム、アメコミ、マンガ、アニメというキーワードがつきまとっていて、もちろんそういうオタク的要素が絶妙に物語に織り交ざっているところが映画の醍醐味だったりもするんだけど、個人的には最高のロック映画と思えるほど、音楽に対する造詣の深さがツボだった。
まあ、ナイジェル・ゴドリッチが全編の音楽を監修し、さらにベックやブロークン・ソーシャル・シーンなどが劇中で使われる曲の大半をかき下ろしているだけに、当然と言えば当然なんだけど。ただ、それらかき下ろされた曲を実際に演奏しているのは、物語に登場する数々の架空のバンド。つまり多くは俳優たちが自ら演奏しているということ。素晴らしい。
それらの演奏が収録されているサントラもとてつもなく聴き応えがある。
こちらも日本盤が映画の公開とともに発売されるので、絶対にチェック。

ちなみに去年、ギャスパー・ノエ監督の『エンター・ザ・ボイド』のオープニング・クレジットが史上最高の出来だと、何度かこのブログで紹介したが、『スコット・ピルグリム』の冒頭も、それに匹敵するぐらい凄まじくかっこいい。まったく質感が違うけど。
というのも、LFOの楽曲をバックにクレジットのグラフィックをストロボさせていた『エンター〜』だが、『スコピル』ではマイケル・セラ扮する主人公のスコット・ピルグリムが在籍するバンド、セックス・ボボンによる”ウィ・アー・セックス・ボボン”の演奏シーンで始まる。
言葉では表しにくいが、ベックがかきおろした曲ということで、その質感は、それこそ洗練されたワープ・レーベルの冷たいビートと初期ベック(『メロウ・ゴールド』や『Stereopathetic Soul Manure』あたり)のローファイ・サウンドぐらい違うのだ。とにかく観て欲しい。

現在、制作中の4月19日発売のCUT5月号ではマイケル・セラ、エドガー・ライト、そして原作者のブライアン・リー・オマリーのインタビューをフィーチャーした『スコット・ピルグリム』特集を掲載するので、よろしくです。(内田亮)
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