いよいよ全国公開となった『ローン・レンジャー』。この夏、観るべき映画はたくさんあるが、間違いなくそのひとつ。『パイレーツ・オブ・カリビアン』チームによる新たな陸の冒険譚は、想像以上の面白さなのである！ なんといっても、仮面のヒーロー＝ローン・レンジャーの相棒トントがかっこよくて、面白くて、せつなくて。マッド・ハッターのように怒りにすら転嫁できない喪失感とカラスの死骸を携えて荒野を駆け回るトント、笑いと哀しみを兼ね備えた道化＝狂言回しとしての新たな解釈は、まさにジョニー・デップならではで、物語に圧倒的な深みをもたらしている。あと、『デッドマン』『ブレイブ』などで、ネイティブアメリカンの精神性を表現してきた彼が、子供にもわかりやすいポップイコンとしてトントを体現し、その歴史をひもといているのも痛快だ。もちろん、アクション・シーンも満載ですよ。
現在発売中のCUTでは、ジョニー・デップの撮り下ろしインタビューを掲載中！ 「自分にとっての相棒は？」という質問に対する答えなど、やっぱかっこよすぎでしょう！

ちなみに写真は、記者会見時のテーブルに飾られていた人形。座った瞬間、アーミー・ハマーは嬉しそうに手にとってジョニー・デップに見せ、その横のミニチュアのグラスに水を入れて飲んでみたりしていた(『ソーシャル・ネットワーク』での双子キャラとのギャップにちょっとびっくり)。生のうなぎを食べてお腹を壊したジョニー・デップはオムツをしたまま砂漠で撮影したり、といった裏話から、なぜヒーローなのに仮面をして顔を隠さなければならないのか、という現代社会への批評まで、このチームの刺激的な空気が関係が伝わってきた。
(井上)