定番のレザー・ジャケットをこれ以上ないくらい着こなした、つまりは自らロックンロールの体現者であることを臆面もなくプレゼンした、アレックスが苗場に降臨。真っ赤な照明に照らされたアークティック・モンキーズは、ただただこの音の、そのただならぬ不穏を、爆発的なギャギャギャギャギャギャとしか形容しようのない衝撃で叩きつけた。
キャリア全体にサービスよく目配せしたセットリストはほとんどシームレスに、この4ピースでできる限界値を常に維持。尋常ならざる興奮。しかし、けれど目の前で鳴っているのは、あの誰もが流用することの出来る、あえていってしまえば、古典の文法なのだ。
ロックンロールがなぜいまなお力をもちうるのか。というか、いまロックンロールはどのように鳴らすことで意味あるものたりえるか。そんな真摯さの凄まじい葛藤が、アークティック・モンキーズの唯一無比を刻印する。
あまりに格好よくて涙でてきた。(宮嵜広司)