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    Wilco

    Wilco

    なんて軽々とロックしてしまえるのだろうか。なにも定型のカントリー・ミュージックをやっているからそうなわけではない。というか、いうまでもなく、彼らがやっているのは、カントリーという歴史でありながら、だからこそその歴史に大胆不敵な上書きを刻む、そう、すべてのロック・バンドがやりたくてもできない音楽なのだ。

    ウィルコとは、アメリカである。つまり、それは物語ということである。その物語とは、荒野で未来を思い、だから狂っていて、絶望的なまでに哀しいということである。

    ギターの何気ないフレーズに、鍵盤の物憂げなメロディに、そしてジェフ・トゥイーディの歌い終わった後の小さな吐息に、そんなアメリカの物語に生きたもの達が宿る。なんて豊かで、なんてせつないことだろう。そして、なんて素晴らしいことなんだろう。だってそれは、わたしたちの物語でもあるのだから。今年のフジ、二度目の落涙。(宮嵜広司)
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