飲み屋の話
2010.10.28 09:48
これを読んでおられる中で、酒好きだという人にうかがいたい。
ひとりで行ける飲み屋って、あります?
常連というか。「おいーす」「あ、兵庫さん、いらっしゃい」
みたいな、そういう店。
私、ありません。
1軒だけ、渋谷の焼き鳥屋で、ひとりで行ける店、ありますが、
それは店主が友人だからであって、しかも「通ってるうちに友人になった」
のではなく「元々友人だった人が店主になった」というケースなので、
それはカウントしません。
なぜひとりで行けないのか。
人見知りとか、なじめないとか、お店の人に覚えてもらえないとか、
話しかけるきっかけがつかめないとか、まあそんなようなことですが、
あと、私の場合、
「ひとりでぼーっとすることができない」
というのがある。
居酒屋界の私の心の師匠、太田和彦氏曰く、
「居酒屋とは、ひとりでぼーっとするところ」だそうですが、
それが無理なのです。
あ、太田和彦氏、ご存じない方は各自調査を。
本はもちろん、「全日本居酒屋紀行」の
DVDボックスまで買いました、私。
話を戻す。
ひとりでぼーっとできない、となると、
お店の人と話せていればまだいいが、
そうじゃない時は、どうしていいかわからない。
というか、そもそも、お店の人と話せるほど親しくなれない。
となると、ひとりでぼーっとするしかないけど、
だからそれができないんだってば。
というわけで、どっちに転んでもダメ。
なので、「だったら、家でひとりで飲む」ということになる。
テレビ観ながらとか、音楽聴きながらとか、本を読みながらとか。
と、長年そう思い、実際にそうしてきたのですが。
私のその「外でひとり飲みできなさ」を初めて打ち破ってくれたのが、
上の写真のお店です。
このブログで何度もネタにしている、東京・下北沢、曽我部恵一社長経営の
カフェ兼中古レコード店、CITY COUNTRY CITY。
カフェ兼中古レコード店であるがゆえに、
「飲みながらレコードを漁る」ということができるのです。
店に行くと、カウンターでビールを頼むが、座らない。
で、ひと口飲んで、レコードを順番に見ていって、
しばらく見たらカウンターに戻って、またビールをひと口飲んで、
またレコード漁りに戻って……ということを、しばらくくり返す。
で、だいたい終わったら、試聴用プレーヤーのところに行って、
ピックアップしたレコードを順番にちょい聴きしていく。
それも、飲みながら。
で、選び終わったら、買って、帰る、という。
これ、「ひとりでも大丈夫」を超えて、
「ひとりじゃなきゃできない」レベルの飲み方だ。
なんだ「レベル」って。
でもそうでしょ。誰かと飲みに来てるのに、
レコード漁ってるわけにはいかないし。
という意味で、ちょっと画期的なお店だったりするわけです。
店主はそんなこと、びたいち考えていなかったと思うが。
ただ、ここで、私と同じことをやっている人、見かけたことないのが気になります。
飲む時は飲むだけ、レコードを漁る時は漁るだけ、がセオリーのようです。
なんでみんなやらないんだろう。楽しいのに。