星野源『フィルム』  勝手に全曲ひとこと解説

星野源『フィルム』  勝手に全曲ひとこと解説

星野源『フィルム』

本日リリースになりました。
公式には「セカンド・シングル」という扱いですが、5曲入り。
ミニ・アルバム、もしくはアルバムくらいの、
みっちりずっしりした聴き応えあり。

で。本人が、CD内のブックレットで、全5曲のひとこと解説を
しているんですが、それを読んでいたら、対抗したくなりました。
なんで対抗しなきゃいけないのかわかりませんが。
でも、とりあえず、そこで本人が書いていることとなるべくかぶらない
形で、なんか書けるかどうか、やってみたくなったので、書いてみます。
以下、あくまで私の解釈です。



1 フィルム

虚と実についての歌。
もしくは、虚とは何か、実とは何か、についての歌。
あるいは、虚と実のどっちが大事とかどっちが本当とか、
そんなの別になんでもいいじゃん、
虚が実に影響を及ぼして、それ以降の自分の
リアルが変わったりするなんてこと、普通にあるじゃん、
みたいなことについての歌。



2 もしも

今この瞬間についての歌。
過去でも未来でもなく、今なのだ、という歌。
ひいては、一期一会の歌だともいえるし、
時間というものの「とりかえしのつかなさ」や「大事さ」や
「切実さ」についての歌だとも言える。
だから、ものすごく、せつない歌です。



3 乱視

今、自分の目の前にあるものや、起きていることなど、捉え方や、
見方や、解釈のしかたによって、いかようにでも変わる、という歌。
だから、脳は自由なのである、ということについての歌。

あと、「どこまで行けるだろう 君の中のようだ」というフレーズに、
「出た! 」と、唸りました。
「君」とか「夢」とか「希望」とか、そういうありふれたフレーズに、
さらっと、はてしなく深い意味を持たせるの、この人の得意技です。

それから、この曲、めずらしく、ロック・バンドとかが
書きそうな、王道な曲の作り方ですね、途中まで。
サビでいきなり星野源になりますが。



4 次は何に産まれましょうか

これは、以前に、猫のホテルの芝居の劇中歌として
書いた曲で、星野源ではなく、主宰の千葉雅子による作詞。
確かに、星野源は書かない感じの、歌詞というより
散文に近い、物語のような作品です。
人の詞だと、いわゆる世間でいうところのJ-POPや歌謡曲に近い、
相手を選ばず広く届きそうなメロディを書く傾向があると思います、星野源。
特にサビの「なるのでしょうか」「生まれましょうか」っていうあたりがそう。
「人のために作ると自然とそうなるんだよ」と、昔、奥田民生さんが
おっしゃっていたので、そういうものなのかもしれません。



5 落下

星野源版「Let it be」。
って、全っ然似てないし、本人も周囲もそんなことびたいち
思っていないと思うが、でも、結果としてそういう
「簡潔に、簡単に、ゆるぎない真実をつかみだす歌」に
なっているところが、そうだと思いました。

そのへんの、ぱっとしない、しょぼくれた風景から、
いきなりめちゃめちゃ重要な真実が立ち上がる、魔法のような歌。
とも、言える。
特に、シメの2行がすさまじい。「うっわ、こう終わるか!?」と、絶句しました。





以上5曲、いずれも、明るいか暗いで言うと明るいよね、みたいに
ざっくりとは言い切れない曲ばかりなんだけど、でも、
全体から受ける印象がなんだか明るい気がする。
希望がある、簡単に言うと。
「これこれこういうふうに希望を表現してます」
っていうんじゃなくて、言葉が並んだ時のボワッとしたイメージとか、
楽器の鳴り方とか、メロディの転がり方に、何か、そういうものを感じます。


あと、音楽面、特にアレンジ面・コード進行面・そこにのっかる
メロディ面において、実は過去のソロ作品たちでは、
自分が持っている引き出しの一部しか開けていなかったことが、
わかる5曲でもあります。
ソロ星野源ではおなじみ、1曲目の伊賀航&伊藤大地のリズム隊はもちろん、
同じく1曲目のレキシ池ちゃんも、2・3曲目でベース弾いてるハマ・オカモトも、
同じく2・3曲目のドラム&振り物の神谷洵平も、1曲目のストリングス&
ホーンのみなさんも、それぞれみんな、とてもいい仕事してます。
あと本人のマリンバも。
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