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    ねごとのラストライブを観た

    ねごとのラストライブを観た
    感傷的な空気のない、潔いかっこいいライブだった。
    あえて言うなら、いつも通りの、これまで通りのねごとの、過去最高のパフォーマンスだった。

    クールな音像と飾るところのない4人、ピュアで親しみやすいメロディ。ファンタジックな世界観。
    ねごとにはたくさんの魅力があったが、何より忘れてはいけないのは、彼女たちは常に音楽的で実験的なバンドであり続けたということだと思う。

    ねごとが若くしてデビューした時、音響的なアプローチも含めて、新しい音像を生み出すことを前提に、ロックバンドというフォーマットに挑んだガールズバンドはいなかった。
    それから10年経った今も、ねごとのようなバンドはいない。
    ねごとのロックはとてもオリジナルで、常に変わろうとしていた。

    何度もインタビューをさせてもらったが、一時期4人はいつも泣いていた。
    誰もやっていない音楽に、高校生の時からの同級生同士で挑み続けることは彼女たちを強くもしたし、さまざまな関係性の変化を強いてもいたのだと思う。

    でも、常に新しく実験的で、つまりねごとらしいロックを鳴らすことを、4人は諦めることなくここまで進んできた。
    そして、そのピュアな実験は来るところまで、胸を張ってやりきったと言えるところまで来た。
    そういうことなのだと思う。

    浮遊するようなファンタジックな音の中に、びっくりするくらい生身の4人の息遣いを込めることができる素晴らしいバンドだった。

    お疲れ様でした。
    これからもよろしく。(小栁大輔)
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