Creepy Nuts日本武道館に感じたとてつもない可能性

どこかたりないけれど飛び抜けてピュアで切実でエモーショナルな魂を持ったふたりが出会い、ラップとDJのスキルを果てしなく高めること、そして二つのスキルの化学反応を練りに練り倒すというストイックな挑戦を続けてきたCreepy Nuts。
ここ数年で多くの人にその存在を知られるようになったことで、彼らの大元にあるピュアで切実でエモーショナルなところが前面に出てきて、ヒップホップを超えた全く新しいCreepy Nutsのスタイルとしてその音楽が聴こえるようになってきた。
そしてこの初の日本武道館公演では、どシンプルなステージ上でその新しさが炸裂しまくっていた。
さらなる新曲含め『かつて天才だった俺たちへ』以降の曲は特にそれが明白。
改めてロックフェスで彼らが強い理由もはっきりわかった。
知性とスキルの裏づけはあった上で、バカなことも、どシリアスなことも剥き出しで表現し、それが熱くてストレートでエモい。
ヒップホップでなければできないことをやりながら、それがロックアーティストとしての強さにもなっているのだ。
DJ松永は本編後半ほとんど泣いていて全然喋らなかった。
涙をずっと流していたわけではないけれどプレイには泣きが入っていた。
ラップは泣いたらできないからR-指定は平静を保っていたけれど、確実にパフォーマンス全体に泣きのエモーションが入っていた。
そして、それによってCreepy Nutsの音楽の源泉にあるエネルギーのデカさが伝わってきた。

これからさらに多くの人にCreepy Nutsが聴かれて、それがさらに彼らをオープンにさせて全く新しい音楽を生み出す化学反応を起こす、その好循環がまだまだ続くことを感じたライブだった。(古河晋)
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